加齢で増える歯周病 ― その最新治療法

症状が中等度以上に進行したら

 歯周病になると歯と歯茎の間にポケットと呼ばれる隙間ができるが、問題は、歯肉炎が進行して歯周炎になってしまうとポケットがさらに深くなること。ポケットが深くなると、プラークコントロールやスケーリングでも汚れが除去しきれないので、手術という選択も出てくる。

 「歯周炎にも軽度、中等度、重症とあり、歯と歯茎の間のポケットが4mm以上の中等度以上になったら、手術も考えたほうがいいでしょう」と伊藤氏は言う。

 手術にもいろいろあるが、古くから行われているのはフラップ手術と呼ばれる方法だ。これは歯茎を切って開き、歯根の汚れや、歯周病菌を取り除いてから、また元の状態に縫い合わせて閉じる手術だが、この手術では、すでに破壊された歯槽骨などは戻すことができない。そのため、治療しても、いずれまた、同じように歯茎がめくれてポケットができる可能性が高い。

『歯周組織再生療法』GTR法とは?

 そこで最近話題になっているのが、GTR法と呼ばれる『歯周組織再生療法』だ。フラップ手術と同じように、歯肉をめくって処置したところに、歯周組織の再生を促す特殊な膜を入れる。1~2カ月すると、歯肉、歯根膜、セメント質や歯槽骨が再生され、健康な歯周組織となる。

 挿入する膜には体内で溶けてしまう吸収性の膜(コラーゲン膜、高分子合成膜など)と、溶けない非吸収性の膜(ゴアテックス膜など)の2種類があって、非吸収性の膜は組織が再生した後で除去するための再手術が必要となる。

 そう聞くと吸収性の膜のほうがいいように感じるかもしれないが、歯茎は手術をすると下がりやすいため、場合によっては中に入れた膜が外へ飛び出してしまうことがある。

 吸収性の膜は唾液やプラークによって溶けてしまうので、組織が再生する前に膜が出てしまうと膜が溶けてしまって、組織は再生されない。一からやり直しである。とはいえ、非吸収性の膜でも、万が一、膜が飛び出したら適切な処置をしなければ、組織が再生されないのはいうまでもない。要するに、吸収性、非吸収性、どちらの方法でも、歯科医の高い技術が求められるという点では共通なのである。

GTR手術
歯肉をめくって再生を促す膜を取り付けた状態。このあと歯肉を被せる。写真提供:伊藤氏

 またGTR法は、すべての歯周病に行えるわけではない。歯槽骨の壊れ方や程度によっては、膜を適切な位置で支えるのが難しく、ずり落ちてしまう。また膜を歯肉で完全に覆う必要があるため、歯肉に弾力がない歯の裏側の歯槽骨が溶けた場合なども適さない。すでに押すと歯が沈むような重度の歯周炎の場合も、この手術はできない。

 「抜くとか、インプラント(人工歯根)を入れるとか、あるいは手をつけないという選択もあります。大事にすれば結構長持ちはしますが、一生は使えません」(伊藤氏)。そうなる前に適切な治療をすることが最も重要だという。

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