耐震、火災 ― 直下地震対策はどこまで進んでいるのか 危機管理産業展2006 シンポジウム「首都直下地震を検証する」(2) パネルディスカッション
復興のカギを握る自宅の再建
中林
被災者自身の個人としての生活の再建も大きな問題ですが、山崎さんからお話をうかがいます。
山崎
個人の生活の再建にはいろいろな側面があると思いますが、特に住宅に焦点を当ててお話しします。
昨日で新潟県中越地震から2年経ちましたが、被災者の生活再建に関する面白いデータがあります。災害は被災者にいろいろな精神的影響を与えます。最も大きいのは自宅の被害です。それでは、自宅の被害状況と心の問題はどうなのか。
東京大学と東洋大学が仮設住宅にいる人たちを調べた結果、それほど大きな差は出ませんでした。自宅が全壊した人も一部損壊の人も精神状態が悪いという人は同じような割合でした。
ところが、住宅再建の見込みが立ったという人のなかで精神状態が悪い人は9%に対して、見込みが立たない人では25%近くもいました。調査した関係者もこれほど有意な差が出るとは思わなかったと語ったほどです。
わたしも過去の災害の被災地を調べたり取材すると、個人の住宅が直らないと街の復興はないし、地域に笑いも帰ってこない。だから個人の生活再建の最も大きな課題の一つは住宅の再建をどうやって進めるかなんです。
そのために国や自治体の補助、地震保険への加入などが重要ですが、何よりも被害に遭う前に住宅の耐震化を進めておくことが大切だと思います。被災からの再建という面においても耐震化は大きな宿題だということが分かります。
首都直下地震の対策は最初の話に戻りますが、とにかく住宅、マンションを地震に強くするかが根幹であると思います。
中林
短い時間のなかで、スーパー都市災害の対策について議論を尽くすことは無理な話ですが、最も重要なことは自助の取り組みです。家や仕事場を壊さない、大量の帰宅者・避難者の問題、いずれも基本は一人ひとりがどれだけ真剣に備える、対応するかで量の被害を乗り越えることができます。
都市特有の質の被害についてもやはり企業の自助が基本だと思います。しかし、自助だけでは難しい。企業間の連携、あるいは地域との連携といった共助、それを支える国や自治体の公助を含めて、東京の質の被害を乗り越えていかなければなりません。
スーパー都市災害は未曾有の事態になる可能性があるわけですが、起きてから対応するのでは負け勝負です。事前に被害軽減にどれだけ取り組むか。その上で今後は、「帰宅困難者は帰らない」といった発想の転換がますます大事になってくると思います。
水口さんからBCP、DCPというお話がありましたが、わたしはCCPとLCPも必要ではないかと思います。CCPのCは「コミュニティ」。まちを継続させることで共助を可能にして、みんなで災害を乗り越えていこう。LCPのLは「ライフ」。一人ひとりの生活を継続させていく取り組みを各家庭が行うことでスーパー都市災害を乗り越えていけるのではないかと思っています。
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