「しかる親」は子どもを傷付けている(2)
23年間、公立小学校の教師を勤めてきた親野智可等(おやの・ちから)さんは、ガミガミとしかることが決してしつけや子育てではないと主張する。大人はしかることに慣れるが、しかられる方の子どもは慣れない。毎日、しかることで知らず知らず親子の信頼関係が傷付いていることに気づいてほしいと親野さんは訴える。
ちょっとした工夫と発想の転換で、しからずに子どもを伸ばし、楽しく子育てすることは可能だと親野さん。夏休みを控えて、どのように我が子に接すればいいのかを聞いた。

取材・文/吉村 克己
2006年7月4日

親のストレスは親子関係を台無しにする

 仕事やトラブルなどでイライラしているとき、ついつい子どもに当たり散らしてしまうことはないだろうか。例えば、おもちゃをちゃんと片づけない、歯磨きをすぐにしないなど、ちょっとしたきっかけで怒りが爆発してしまう。

 普段は同じことをしても怒られないのに、時々、なんの前触れもなく怒鳴られる。子どもにとってはいい迷惑だ。本当はただの“八つ当たり”なのだが、“しつけ”という名目で、イライラが子どもに向けられるとすれば不幸なことだ。

 親は気付かないが、子どもは親の行動をちゃんと見ている。「お父さん(お母さん)はイライラしているから怒っているんだ」と考え、片づけないことに対する「しつけ」だとは思わない。だから、一向に子どもの行動は改まらない。それどころか、親への不信が高まっていく。

親野智可等(おやの・ちから)氏

 もうじきやって来る夏休みは親子関係の土台を築く大事な時期だが、親野智可等さんは、夏休みは親子関係を改善する「チャンスであると同時にピンチでもある」と語る。

 「特に専業主婦のお母さんにとっては一緒にいる時間が長いので、逆に子どもとの関係が悪化する恐れもある。悪化する原因は親のストレスです。ストレスが子どもに向かうと親子関係は大きく傷付きます。親がイライラしていたら、いい子育てなどできるはずがありません。親自身の心が安らかで穏やかなら子育ては必ずうまくいきます」。

 親野さんは静岡県の公立小学校で23年間勤め上げたベテラン教師だが、その間、見てきた親と子どもから、そうした結論に至ったという。これは母親だけでなく、父親にもいえることだ。

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