【本当にあった怖い話】信頼は一瞬にして崩れる(第1回)

■PSE反対運動に行政も企業も右往左往
上/PSEマークは電気製品が安全確認検査済みであることを示す。今年4月から、このマークのない家電製品は販売できなくなった
写真/中田裕史
右下/安全確認検査の検査機器。1000Vの電圧を1分流し、絶縁性などをチェックする
写真/管野勝男
左下/ハードオフ社長室が残しているPSE法関連の記録
ファイル7冊分の分量がある
写真/管野勝男
「PSE法(電気用品安全法)問題ではお役所に振り回され、かなりの損もした」
リサイクル店を展開するハードオフコーポレーションの山本善政社長は恨めしげだ。
PSE法では今年4月から、安全確認検査を受けたことを示す「PSEマーク」のない家電製品の販売を禁じている。当初は「中古品は対象外」と思われていたが、1月末に経済産業省は「対象内」との解釈を示した。ハードオフの在庫はこの時点で16%がPSEマークのない製品。これが4月1日から売れなくなる。泣く泣く、同社は在庫処分セールに踏み切った。
だがそのころから、中古品への適用に反対する声が高まり始め、経産省の方針が二転三転する。まず2月17日には、販売業者が安全確認検査を実施しPSEマークをつけることを認めた。当初は「検査した企業は製造物責任を問われる可能性がある」としていたが、3月14日にはこれを否定した。これを受けハードオフは処分セールを中止、3000万円以上掛け検査機器を導入することを決めた。ところが3月24日には、当面は事実上、中古品の販売を容認する決定が下る。
「我々も血を流した。でも、我々以上に傷ついたのは経産省かもしれない」と山本社長は漏らす。

3月下旬、「ハードオフ」はおよそ1カ月半ぶりにPSEマークのない家電製品の買取を再開した
写真/管野勝男
経産省を悩ませたのは世論だった。まずはネット上でPSE問題が熱く語られ始め、これが著名人を巻き込み本格的な反対運動へと発展する。これがテレビなどで取り上げられ、消費者の関心は一気に広がっていく。
「ネットの普及でモノ申す消費者の発言力が格段に強まっている。それを端的に示す事件」と、国際戦略デザイン研究所の林志行氏は指摘する。
山本善政社長。もともとはAV器機の販売などを手掛けていたが、90年代初頭から、リサイクル業界に転じていった
写真/管野勝男
本社………新潟県新発田市
売上高……76億9000万円
(2005年3月期)
設立………1972年7月
事業内容…リサイクル店の展開

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