THE・Winnyパニック


キャッシュが生成される

 ダウンロードの大まかな進ちょく状況は検索結果(ファイル検索)画面のグラフでも確認できる(図9図10)。ここで「状態」欄に注目してほしい。ダウンロードが始まっていない状態では「仮想ファイル」と表示され、少しでも始まると「部分キャッシュ」、完了すると「完全キャッシュ」に変わる。

図9 ダウンロードの進ちょく状況を「ファイル検索」画面で見たところ。ここの「状態」欄に注目。ダウンロードが始まると「仮想ファイル」から「部分キャッシュ」に変わる。このキャッシュがWinnyの特徴だ。キャッシュは「Cache」フォルダーに保存される

図10 ダウンロードに成功すると「状態」が「完全キャッシュ」に変わり、キャッシュから目的のファイルが生成されて「Down」フォルダーに保存される。キャッシュはユーザーが消さない限り残り、自動的にWinnyネットワークに公開される

 実は、Part1で述べた「キャッシュ」とはまさにこれである。データ転送効率を向上し、匿名性を実現し、流出ファイルの回収を困難にしているWinny独特の仕組みだ。

 Winnyはダウンロード中のデータをキャッシュとして「Cache」フォルダーに保存する(図1参照)。そして、完全キャッシュになった段階、すなわちダウンロードが完了した段階で、それをファイルとして別途「Down」フォルダーにコピーする。

 つまり、「Down」フォルダーに保存されたファイルのほかに、同じものが「Cache」フォルダーに存在するわけだ。Part1ではキャッシュがWinnyネットワークに自動公開されると述べたが、誌上体験すると具体的な仕組みをよく理解できるだろう。なお、「Cache」フォルダーの中身を削除すればキャッシュは消える。

 キャッシュは自分自身でも利用できる。「Down」フォルダーのファイルを削除しても、キャッシュが残っている間は通常のダウンロード手順ですぐにファイルとして取り出せる。

事件のかげに利用者心理

 ダウンロードが完了したファイルは、ダウンロードリスト(ダウン条件)から外される。それらを確認したいときは「タスク情報」の画面を使う(図11)。ここにはダウンロードが進行中もしくは完了したファイルがリストアップされる。混乱しやすいので画面を整理すると、「ファイル検索」は検索結果、「ダウン条件」はダウンロードリスト、「タスク情報」は進ちょく状況と結果、だ。

図11 「タスク情報」の画面ではP2Pならではの特性が見て取れる。時々、休憩しているかのようにダウンロードが中断され、またしばらくして再開するといった現象が見られる。専用サーバーではなく、ごく普通のパソコンを相手にするP2Pならではだ

 「タスク情報」画面を眺めているとWinnyネットワークの特性がよく分かる。ダウンロード可能なファイルであっても、Webサーバーなどからのダウンロードとは異なり、転送速度は決して速くない。よく見ていると、時々休憩するかのように通信を中断しながら断続的にダウンロードしていることもある。このため、総じてダウンロードには時間がかかるという印象だ。

 このような特性を十分承知しているWinnyな人々は、ファイルの数もサイズも気にせずに、欲しいファイルをたくさんダウンロードリストに突っ込んで、パソコンを放置したまま自分はさっさと寝てしまう。翌朝になると結構な数のファイルがダウンロードできている(図12)。だが、全く進んでいないファイルもかなりある。落とせなかった(ダウンロードできなかった)ものは縁がなかったとあきらめて、またの機会を待つ。落とせないものもあることを前提に、多めにファイルを指定して、結果的に落とせたものを楽しむのがWinnyライフのようだ。

図12 しばらく放置してから「タスク情報」を見ると、ダウンロードが完了したファイルが山のようにたまっている。これを一晩かけて行うWinnyユーザーの心理が一連の事件を理解するカギ。朝、ウイルス対策ソフトの警告でダウンロードが中断していたら…

 実は、こうした行動心理を理解していないと、一連の情報流出事件の深層が読めない。後で誌上体験するウイルス感染で重要ポイントとなるので心にとめておいてほしい。

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