特集:
子どもを見守るシステム、続々登場
ICタグ利用の新提案 地域ネットから駅利用追跡まで

 離れていても読み取れる無線ICタグ。当初はバーコードの置き換えツールとして期待されていた同タグだが、まだ価格などのハードルがあり、流通分野での本格的な普及はこれからといったところ。だがここ数年は、様々な分野で無線ICタグを活用した利用方法がいくつもの提案されており、その可能性は広がりをみせている。そのなかから、今回は子どもを対象にしたセキュリティシステムに注目し、NTTデータの取り組みと、先日行われた「IC CARD WORLD 2006」(ICカードとICタグの総合展示会)の模様をリポートする。

文/林愛子、写真/小林嘉樹、渡徳博
2006年3月23日

約1km四方のエリアで子どもを見守る

 情報を記録できるゴマ粒より小さなICチップ。そのICチップを組み込んだ無線ICタグは、非接触で個別認証できる点が大きなメリットだ。昨今は子どもを狙った犯罪が続発していることもあり、セキュリティシステムにこの無線ICタグを活用する事例が増えている。

NTTデータ 第三公共システム事業本部
市場開拓部長 堀間利彦氏

 その一つが、NTTデータが推進する「アイセイフティ」だ。開発を主導した同社第三公共システム事業本部 市場開拓部長の堀間利彦氏は、自身も子どもを持つ親として常々防犯対策の必要性を感じていたという。「自宅周辺では大きな犯罪こそ起きていないものの、月に1~2件程度は不審者の目撃情報があります。会社勤めをしている保護者は日中、子どもを守れませんので、親同士が互いの子どもを守り合うような仕組みを作れないかと思ったのが始まりです」(堀間氏)。

 その思いが形になった。NTTデータと東急セキュリティ、イッツ・コミュニケーションズの3社が2005年4~7月に、横浜市青葉区の一部地域で子ども見守りサービス「アイセイフティ」の実証実験を実施する運びとなったのだ。電波到達距離がおよそ30mの無線ICタグ(見守りタグ)を子どもに持たせる。その子どもが町中に設置されたレシーバー付近を通過すると、事前に登録した保護者のメールアドレスに通知が届くというのが基本的な仕組みだ。およそ1km四方の地域に27台のレシーバーを設置した。保護者は必要に応じて自分の子どもの通過履歴をWebブラウザーで確認することができる。

 また見守りタグには緊急通報用のボタンが付いている。子どもは危険な状況に陥った場合にはボタンを押す。すると保護者や近隣在住の保護者(駆けつけ支援者)、提携警備会社などに緊急通報が届くことになっている。

「地域防犯力の向上に住民間の対話は不可欠ですが、親同士の交流は年々減少傾向にあります。今回は188人の児童と215人の駆けつけ支援者が参加してくださいました。この実験が親子で防犯について話し合うきっかけとなったようで、それも成果の一つといえるでしょう」(堀間氏)。

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