Sony BMGコピー防止機能付き音楽CDが招いた大問題

消費者はますますパソコンで音楽を楽しむ方向に
ユーザーニーズ無視のレコード会社に問題

 最後に企業におけるリスクマネジメントという視点から、今回の問題の本質をまとめてみたい。

 Sony BMGがしくじった最大の点は、音楽ファンの“財産権”を姑息(こそく)なやり方で踏みにじったことに尽きるだろう。コンテンツビジネスをしている以上、アーティストやレコード会社の権利を重要視するのは当然のことだ。しかし、それを追求するがあまり、正規に購入している「顧客」に対しても、被害を及ぼしかねない技術を採用するという方法論はほめられたものではない。

 特に現在は、アップルコンピュータがiTunes Music Storeという「合法」の音楽配信ビジネスを成功させ、それの受け皿となるiPodは2005年だけで約3200万台も売れているのだ。消費者が急速にパソコンを使って音楽を楽しむ方向にシフトしているのにもかかわらず、Sony BMGは自分たちの既得権益を守ることにこだわり、そうしたニーズをすべて無視したやり方を強引に進めてしまった。

 数々の訴訟にかかる費用が最終的にいくらぐらいになるかは見当も付かないが、顧客をないがしろにして反感を持たれるくらいなら、これらの費用を新規アーティストの発掘やアーティストの作品作り、デジタル音楽販売のインフラ整備などに充てた方がよほど建設的だったのではないか。

 今回のrootkit問題は、企業のセキュリティ・リスクマネジメントという問題以上に、コンテンツビジネスにおけるユーザーニーズと著作権保護の“しきい値”をどこに置くかという経営判断の問題だったといえるのかもしれない。

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