Sony BMGコピー防止機能付き音楽CDが招いた大問題

パソコンを使った音楽CDのコピー増加が
レコード会社のCCCDへの取り組みの要因

 今回の一件で、Sony BMGという会社はすっかりと音楽ファンを敵に回してしまった。しでかしたことの大きさから考えれば当たり前のことではあるのだが、なぜSony BMGはこうしたリスクをまったく理解せず、稚拙なコピー防止技術を採用してしまったのだろうか? この点が、今回の問題における最大のポイントだろう。

 その理由を理解するには、ここ数年の音楽業界がどのようにしてCCCDを登場させてきたのか、その“歴史”をおさらいすることで見えてくる。以下では、その理由を具体的に解説してみよう。

 CCCDが登場することになった最大の要因は、間違いなく「パソコン(PC)」にある。CCCDそのものが、「パソコンを使ったリッピングやデジタルコピーを防止する」ことを目的としているのだ。

 その背景には、パソコンを使った音楽CDのデジタルコピーには、一切制限がかけられていないということが挙げられる。Windows 98搭載のパソコンが登場する頃から、CD-Rドライブの普及に伴って、音楽CDのデジタルコピーが簡単に作れるようになった。また、ちょうどその頃、音楽CDからMP3形式のファイルに変換する行為(リッピング)が、音楽好きのパソコンユーザーを中心に定着し、同時期に今の「iPod」などの元祖的存在ともいえる携帯デジタルプレーヤー「Rio」などが登場した。

 1999年にはファイル交換ソフトの元祖である「Napster」が登場。これにより、インターネットでは音楽CDからリッピングしたMP3ファイルが無料(違法)でネット上に流通することとなった。

 90年代後半、レコード会社を中心とする音楽産業は、全世界的に非常に隆盛を誇っていた。米国や日本のレコード生産金額は過去最高を誇っていたのだ。ところが、97年~98年をピークに、音楽CDの生産金額が右肩下がりで落ちていく。

 音楽CDの売り上げが下がった理由は、DVDや携帯電話のコンテンツビジネスの登場や、“売れ筋”アーティストが消費者に飽きられたことなど、様々な複合要因が考えられたが、レコード会社はCD-RやMP3、そしてファイル交換ソフトなど、「パソコンにすべての原因がある」と考えた。だからこそ、欧米のレコード会社はMP3プレーヤー(Rio)やNapsterが登場した直後から大規模な訴訟を起こして、そうしたデジタル音楽の芽を潰そうとしてきたのである。

 しかし、いくら訴訟を起こしても、CD-Rを搭載したパソコンがなくなるわけではなかったし、Napsterを訴訟で“潰した”後も、似たようなファイル交換機能を持つソフトは後を絶たなかった。コンテンツの著作権を守ることで商売をしているレコード会社にとって、消費者がお金を払わず自由に音楽をコピーしている状況は許せるものでなかったのだ。

 そこでレコード会社は、音楽CDに「鍵」をかけることを思いつく。2000年前後という時期は、オンラインでのコンテンツビジネスが本格的に注目され始めた頃で、DRM(デジタル著作権保護、著作権保護)技術を開発するベンチャー企業も多かった。レコード会社は、音楽CDにコピー防止機能を加える技術を持ったベンチャーにアプローチしたのである。

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