Sony BMGコピー防止機能付き音楽CDが招いた大問題
訴訟に対する和解案が提出されたが
正式裁定は出ておらず、適用外訴訟も多数残る
当然のことながら、Sony BMGは相次ぐ訴訟に対して“火消し”を図る。同年12月28日、マンハッタンの米連邦地方裁判所にこの問題に対する和解案が提出された。内容は以下の通りだ。
(1)Sony BMGは、XCPのCCCDを購入した消費者に対して、コピー防止技術が含まれていない通常の代替CDを提供する。
(2)上記代替CDとは別に、2種類のインセンティブから1種類を選択できる。1つは7.5ドルの現金に加え、200タイトル以上のリストからアルバムを1枚追加で無料ダウンロードできる権利(プロモーションコード)を得る。もしくは同リストの中から3枚のアルバムを無料ダウンロードできる権利を得る。
また、MediaMax 5.0のCCCDを購入した消費者は、同じアルバムのコンテンツ保護されていないファイル(MP3形式)をダウンロードすることができ、さらに追加でもう1枚アルバムを無料ダウンロードできる権利を得る。MediaMax 3.0のCCCDを購入した消費者は、同じアルバムのコンテンツ保護されていないファイルをダウンロードできる権利を得る(インセンティブはなし)。
その他、XCPおよびMediaMax入りのCCCDの生産中止や、XCPおよびMediaMaxにより引き起こされたセキュリティホールの修正パッチの提供、個人情報を収集しないということの第三者による証明、ライセンス合意書の規定の削除、コピー防止技術の開示やテスト、除去可能であることの保証など、様々な条項が盛り込まれた。
この和解項目による保証は、2006年1月中旬から行われているが、正式な裁定はまだ下されていない。また、この「予備的和解」に達しているのは全米各地で行われた集団訴訟だけであり、カナダで起きた集団訴訟やイタリアのNPOである「ALCEI」から起こされた訴訟に関しては適用外だ。
加えて、集団訴訟以外の各州司法当局による民事訴訟も適用外である。テキサス州では反スパイウエア消費者保護法という州法違反容疑で訴えられているほか、フロリダ州やニューヨーク州でも民事訴訟の準備中という情報もある(これらの詳細な情報はSonySuit.comという専門情報サイトにまとまっているので、興味のある方はそちらを参照されたい)。
こうした一連の流れを見ていると、一般消費者による集団訴訟は何とか乗り切ることができそうだが、最終的な“手打ち”となると、まだまだ先が見えない状況といえるのではないだろうか。

集団訴訟の和解条項から、Sony BMGの損失を仮に計算してみよう。現在市場に出回っているXCPのCCCDが約210万枚。半数のユーザーが「返品交換+現金+ダウンロード」のインセンティブを選択した場合、7.5ドル+6ドル(音楽配信における米国の一般的なアルバム価格9.99ドルからレコード会社の管理手数料などを引いたおおよその数字)に110万枚をかけた金額が和解にかかる費用ということになる。この場合だと、XCPで1485万ドル(約17億円)ということになる。ユーザーにとってもう1つのインセンティブ・オプションであるアルバムダウンロード×3枚分を選んだ場合、持ち出しの現金は少なくなるが、損失額は大きくなる。一方、MediaMaxの場合、1枚アルバムを無料ダウンロードが付くMediaMax 5.0がどれだけ出荷されているかによっても変わってくるが、仮に500万枚で約3000万ドル(約34億円)程度かかる。少なく見積もっても、これくらいの金額であり、返品交換を求める人が多かったり、まだ解決していない米国の州法違反訴訟やカナダやイタリアの訴訟を考慮に入れると、間違いなく数百億円は訴訟費用として計上しなければならなくなるだろう。
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