どん底からの復活!
復活できる/できない社長
見栄としがらみを捨てて反省と感謝ができるか
「変革」と「感謝」がないと失敗を繰り返す
「今日一日を精一杯生きよう」
復活した経営者には、そんな思考法でどん底の時期を耐えた人が多い。
危機に陥った経営者の相談を多く受ける、八起会の野口誠一会長も、相談者が心の病に陥っていない限り、まずは「1年だけ頑張れ」と発破を掛ける。
銀行対策やリストラの手法などを具体的に教えて、「これで1年やってダメなら倒産させればいい」と話す。それで概ね、8割が復活するという。
「1年も頑張れば、いろんな風が吹く。急に業界の景気が良くなったり、意外と立ち直れてしまう」(野口会長)
けれど、何となく浮上してしまうのは、必ずしもいいことではない。“真の復活”と呼ぶには、「自己変革」と「感謝」が必要だ。
「トップの究極の資質とは、『分かったら、変えられる』ことだ」と、野口会長は主張する。
どんなつまらない失敗でも、100%自分の責任と受け止める。社員の不正も取引先の倒産もトップの責任。けれど、そこでふさぎ込まず、前向きに自分を変えていく。
このプロセスがないと、同じ失敗を何度も繰り返す。
失敗しても浅い傷で済むと、経営者は得てして「自分の力で切り抜けた」と思い込みやすいが、これも問題だ。
「経営者が復活する時には、必ず周囲の人々の協力がある。家族や従業員、得意先、取引先――そういう自分を支えてくれる人々の存在を忘れてしまうと、“高慢の病”でまた危機を招く。逆に、そこできちんと感謝できる経営者であれば、危機を経て、かえって信用が増す」(野口会長)

野口 誠一
八起会会長
倒産に関する相談を受ける「八起会」を主催。自身も倒産経験者。著書に『幸せをあきらめない―倒産を乗り越えた妻たちの戦い』(到知出版社)など
捨てるべきプライドがある
「見栄としがらみに縛られている経営者は、復活が難しい」と、企業再建コンサルタント協同組合の安藤ゆかり氏は指摘する。
緊急事態に陥ったら、生き残るために本当に必要なものが何で、捨ててもいいものは何かを、冷静に見極める必要がある。「ところが、見栄としがらみに縛られて、捨てるべきものを捨てられない経営者が多い」(安藤氏)。
例えば、と安藤氏が挙げるのが、企業再生の現場でよく見受けられる、こんなケースだ。
銀行への金利の支払いを2カ月止めてリストラ資金を捻出する計画を立てていたところ、支店長の来訪に驚いた経営者が払ってしまう……。「支店長にいい顔をしたい、というプライドが捨てられず、自ら復活の道を絶ってしまう」(安藤氏)というわけだ。

安藤 ゆかり
企業再建コンサルタント協同組合
リクルートなどを経て現職。著書に、中小企業の再生や承継問題を取り上げた『会社の継ぎかたつぶしかた』(日経BP社、河合保弘氏と共著)
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