連載企画「水害の世紀」(1) 東・阪・名を「都市型水害」が襲う!

【PART3】
どうする? 大都市のアキレス腱「合流式下水道」

 合流式下水道による水環境の悪化が大きく取りざたされたのは2000年。下水道管内の白色固形物が、東京・お台場海浜公園に流れ着いたのが発端だ。国土交通省は2002年度から、緊急改善事業を開始。下水道法施行令も改正するなど、大がかりな対策が進んでいる。

お台場海浜公園に漂着したオイルボール

●悪臭や漂流汚物によって都市型水害が深刻化

 銀座や新宿など東京の繁華街では雨が降った後、いやな臭いがする。また、お台場の海には、大雨時に下水管に堆積した油などの汚物が流出してできたオイルボールが浮かぶ。

 多発する都市型水害では、汚水が雨水に混じって氾濫する恐れがあり、被害が環境面や衛生面からも深刻化している。

 早くから下水道を整備した大都市などで採用している「合流式下水道」は、生活排水などの汚水と、雨水を1本の同じ管路に集める。管路が1本のため整備コストが割安、雨水が洗い流した道路上の汚濁も下水処理できるといった特長がある半面、大きな問題がある。

 合流式下水道では、時間降水量約2~3mmほどのわずかの雨で、汚水を未処理のまま雨水とともに川に放流する。そのため、水質を汚濁し、水環境を悪化させるのだ。

●今後10年間で合流式下水道を改善

 1970年代から新規に整備した市町村では、汚水と雨水を分ける「分流式下水道」を採用している。しかし、東京都区部の82%は合流式下水道のままで、約800カ所で未処理下水を川などに放流し続けている。

 都市のアキレス腱となった合流式下水道の改善に向けて、下水道法施行令が改正され、2004年度から原則10年間で改善を完了することが義務づけられている。

●遅れている日本の下水道の高度処理

 魚介類などに悪影響を及ぼす赤潮や青潮は、富栄養化によって発生する。下水道から富栄養化の原因物質となる窒素やリン等を確実に除去する処理方法は「高度処理」と呼ばれる。

 しかし、日本では、下水道の高度処理の普及率が諸外国に比べて低い。環境基準の達成率が改善されていない東京湾や伊勢三河湾、大阪湾の三大湾や湖沼などの閉鎖性水域や水道の水源域では、高度処理の推進が急務となっている。

 これまでみてきたように、都市部では雨水の処理を下水道に頼っているのが実情だ。下水道は目に見えないだけに、市民にとっては、ブラックボックスのような存在ともいえる。しかし、特に都市部で働いたり、生活したりする人にとって、下水道は身近な存在であることを知ってほしい。都内で下水道の雨水幹線工事が目立っているが、なぜこうした工事が必要なのかも明白だ。

 最近は欠点ばかりを指摘される合流式下水道だが、東京の神田川や隅田川の水質が改善されたのは、合流式下水道が整備された効果であることも忘れてはならない。

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