インターネット社会はセキュリティ問題を克服できるか
子どもたちにインターネットをどう教えるか
子どもたちにとってインターネットは、その素晴らしさと危険が隣り合わせになっている存在だ。危険を回避しながら、子どもたちにインターネットの素晴らしさを体験させる方法を考える。
出会い系サイトにポルノサイト、そして未熟なコミュニケーションを原因にした事件など、子どもたちにとってインターネットは危険な場所でもある。かといって、インターネットを全く使わせないというのも非現実的だ。
では、そうした危険を回避しながら、適正なインターネット利用者として成長させるために、大人は何をすればよいのだろうか。
まず、小さな子どもを持つ親として、佐々木氏がその教育方針を述べた。
「出会い系サイトが問題となっていますが、人と人が出会うのはネットの最大の利点でもあります。ネットを通じた人との出会いをすべて禁じるわけにはいきません。
わが家の場合、まだパソコンも携帯電話も使えない小さい子に対して、ニュースで出会い系サイトが話題になるたびに、自宅で話題にしています。というのも、興味を持つ年代になってからでは、大人が教えようとしても反発するだけだと思うからです」(佐々木氏)。
佐々木氏によれば、ネット上で「これは変だな!?」と感じたときに、問い合わせる場所がほしいという。賢い市民が情報を集積させることによって、ネットワーク社会を向上させる仕組みがあれば、子どもたちにも役に立つという提言である。
一方、技術の進歩によって、危険なサイトから子どもを守る方法を提唱するのは村上氏である。マイクロソフトとカナダの警察が協力して児童ポルノを摘発した方法を利用して、犯罪者を追い詰めていけばいいと言う。

「例えば、ブラウザーに危険なサイトのサーチ機能を付けるという発想です。警察だけでなく、利用者とプロバイダーが情報を共有して、犯罪者を追い詰めていくという発想も、これからの日本人に求められます。被害者を守るのはもちろんですが、犯罪をなくすには、加害者をきちんと捕まえるというメッセージを出していかなくてはなりません。そういうシステムが成り立つ社会環境を育てていくべきでしょう」(村上氏)。
村上氏の発言にある「社会環境」というキーワードを受けて、金子氏は「実社会でも、一般の人が、商店街の警備をしたり交番の代用をしたりしているが、それと同じことが、ネットでもできないものか」と提言する。
さらに、慶應幼稚舎の舎長(校長)の経験をもつ金子氏は、インターネットを利用するための社会ルールを子どもに教える大切さをこう力説した。
「子どもたちに対しては、インターネットに関するソーシャルスキルを少しずつ教えていくことが重要と考えます。
例えば、メールを出すときには、興奮したまま送信しないで、ちょっと間をおいたり、もう一度読み直すといったのも大切なスキルです。そうした、ソーシャルスキルを身につけることによって、未熟なコミュニケーションによる弊害はある程度解決できるはずです。そうしたスキルをまとめた教材をつくっていくというのもいい手だと思います」(金子氏)。
最後に、会場の女性から「5歳の子どもにパソコンをどう教えたらよいか?」という質問が出て、佐々木氏はこう回答した。

「子どもに教えるという態度ではなく、一緒に遊んで、パソコンでゲームをするくらいの気持ちで付き合うのがいいでしょう」(佐々木氏)。
パソコンの使い方は、普通、大人よりも子どもの方が上達するのが早い。子どもの発想は、大人のそれの上をどんどんいく。その点で、田中氏が述べた「問題は、大人が子どもに教える能力を持っていないことにあります」という発言は示唆に富んでいた。
大人の責務として、私たちは子どもよりもインターネットやパソコンについて知らなくてはならない。それができて初めて、私たちは子どもをインターネットの危険から守ることができるのだ。
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