スパイウエアを捕まえろ!

 個人情報をひそかに送るのが本来のスパイウエアだが、現在、スパイウエアと総称される迷惑ソフトでこのタイプは一部にすぎない。 実際には、ブラウザー起動時に開くホームページをアダルトサイトに変えるだけなど、スパイ活動をしないものの方が多い。ユーザーが迷惑する機会が多いのもそうしたタイプだ。

スパイするとは限らない

 折しもWeb広告全盛の今、“ちょっと危ないネットサーフィン”をしただけで、パソコンには、広告を表示するポップアップ画面やらツールバーやらが無数に送り込まれる。そこで現在は、広告を中心に、個人情報を送らないプログラムまですべてひっくるめて、ユーザーが不快に思ったり不利益につながりかねないソフトをスパイウエアと総称している。

 実は、スパイウエアという言葉には、はっきりとした定義がない。この言葉が広まり出したきっかけは、2000年から2001年にかけて米国で、ユーザーの情報やネットの閲覧履歴を送信しようとする「tsadbot」や「SaveNow」といった広告表示プログラムが、無料ソフトに組み込まれたこと。これらが「スパイウエア」ではないかと、マスコミなどから集中砲火を浴びたのだ。

      ■徐々に「スパイウエア」の問題がクローズアップされてきた

スパイウエア以前 ウイルスではないが不正・不快なプログラムを「グレーウエア」などと呼んでいた
1999年10月 パトリック・コーラ氏が、スパイウエア対策ソフト「Spybot - Search & Destroy」を開発。無償で配布し始める
2000年5月 スパイウエア対策ソフトメーカー、米ペストパトロール設立
2000年7月ごろ フリーソフトなどに組み込んで広告を表示させる「tsadbot」の中に、パソコン内の情報を送信する活動が含まれていることが判明。各メディアから批判される
2001年 米国で、無料のファイル交換ソフトに付属してダウンロードされる、ユーザーのネット閲覧履歴追跡ソフト「SaveNow」などが非難の対象となる
2001年8月 ブラウザー画面上の広告を置き換えるように、自社で配信する広告を表示する米ゲーターの「ハイジャック広告」に関する訴訟が起きる
2003年10月 トレンドマイクロがウイルス対策ソフト「ウイルスバスター2004 インターネット セキュリティ」にスパイウエア対策機能を本格搭載
2003年10月 シマンテックがウイルス対策ソフト「Norton AntiVirus 2004」などにスパイウエア対策機能を搭載
2004年8月 米コンピュータ・アソシエイツ、米ペストパトロールを買収
2004年10月 米下院本会議で、コンピューターユーザーの許可なく個人情報を収集したりポップアップ広告を表示させるスパイウエアに対して、最高300万ドルの罰金を科す内容の法案「H.R.2929 SPY ACT」を可決。しかし上院で否決された
2005年1月 米マイクロソフトが無償スパイウエア対策ソフトのベータ版提供。日本でも提供予定


 これに乗じたのがセキュリティ対策ソフトのメーカー。各社とも、この「新しいマーケティング用語」(ラックSNS事業本部セキュリティプランニングサービス部の新井悠担当部長)に対応した製品を続々と発売し、スパイウエアという言葉がますます注目を集めるに至った。ウイルスではないが、パソコンに潜んで何か工作活動を行うスパイ――このネーミングも分かりやすかった。

米コンピュータ・アソシエイツ
eTrust開発ゼネラル・コンサルタント
ロジャー・J.トンプソン氏
スパイウエアの種類はどんどん増えている。その多くは金銭的な利益を得るのが目的で仕掛けられるものだ。ネット検索の発展で、ユーザーは幅広いサイトにアクセスできるようになったが、かえってスパイウエアにかかる危険性も高まっている

シマンテック
法人営業事業部エグゼクティブシステムエンジニア
野々下幸治氏
スパイウエアに、はっきりした定義はない。ただ、シマンテックではこれを限定的にとらえ、システムの活動をひそかに監視し、その情報をほかのパソコンに送信するプログラムをスパイウエアだとしている。自己増殖しないこともその要件の一つだ

トレンドマイクロ
マーケティング本部プロダクトマーケティング部
プロダクトマーケティングマネージャー 瀬川正博氏
スパイウエアか通常プログラムかの判断は基本的にユーザーに任されている。ただ、便利なソフトだからといって無作為にインストールしていると、知らない間にスパイウェアが入り込んでいることがある。一度は自分のパソコンを調べてみてほしい

米マカフィー
コンシューマー戦略・マーケティング担当
ドリュー・カーター氏
マカフィーでは、スパイウエアやアドウエア、ダイヤラーなどを総称して「Potentially Unwanted Programs」(怪しいプログラム)と呼んでいる。いずれも、その活動をやめさせたり、アンインストールする手段が提供されていない場合がある


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