<今週のハイライト>
中高年男性を襲う更年期障害(1)

~性欲減退やED(勃起不全)より不眠症状が多い~

 更年期障害というと、閉経前後に起こる女性特有の病気と思われがちだが、男性にも女性と同じように更年期障害がある。しかし、一般的な認知度は低く、日本の医療体制は、これまでお世辞にも進んでいるとはいいがたい状況だった。

 それが近年、団塊の世代が更年期に突入し、また生活の質を高めるQOL(クオリティー・オブ・ライフ)がさけばれるようになり、社会的問題として、男性更年期障害も注目されるようになってきた。

 そこで、より快適な中高年時代を送るために、知っておきたい男性更年期障害の基礎知識を、札幌医科大学名誉教授、日本臨床男性医学研究所(城西クリニック附属)所長の熊本悦明先生に伺った。

取材・文/伊藤 左知子
2006年5月12日

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更年期障害が起こるのは、人生の車検期

 Aさんは働き盛りの50代男性。重要なプロジェクトを連日の残業で、どうにか成功させた。彼に対する期待も高まり、さあ、これからというときなのに、どうも元気が出ない。そういえば最近、よく眠れない。大した運動をしたわけでもないのに、ひどく疲れる。ついには朝、だるくて会社に行くのもつらい状態に。そんな状態を見かねた妻に説得されて、ようやく病院で診てもらったところ、男性更年期障害であることが分かった。こんな中高年男性が増えているという。

札幌医科大学 熊本悦明名誉教授

 「奥さんに付き添われて、来院される方も多いですよ」

 新宿の城西クリニック内で日本臨床男性医学研究所の所長として、男性更年期障害の患者さんを数多く診てきた札幌医科大学名誉教授の熊本悦明先生は話す。

 「40代後半から60代というのは、サラリーマンなら、ちょうど中間管理職などで、一番がんばっている年代です。同時に仕事の責任やリストラの不安など、日常生活で受けるストレスも非常に多い。しかし、年齢的には身体的機能がだいぶ落ちている。更年期障害が起こるのは、こういう時期です」

 男性更年期障害は、主に男性ホルモンの低下とストレスの影響によって起こると考えられている。男性ホルモンというのは、生殖機能を司るホルモンで、思春期をピークに徐々に減少し始め、40代後半頃から減少が著しくなる人も出始める。減少度合いには個人差があるものの、この時期からが更年期である。

 「更年期というのは車に例えると車検期です。一見、問題なく走っていた車も、車検に出して調べてみると、エンジンオイルが切れていたり、電気系統が故障していたりするものです。人間も同様です」

 車検期の車で、今までと同じスピードを出し、凸凹道を走り続けていれば、故障や事故が起こりやすい。エンジンオイルが男性ホルモン、凸凹道などをストレスと考えると、やはり人間の身体も車検が必要だということが理解できる。

図1:車に例えて、更年期を理解する!
(熊本悦明教授作成の「“更年期”の理解の仕方」より)

 しかし、女性更年期障害で、閉経期に性ホルモンが急激に減少するのに比べ、男性は、急激に低下する人もいれば、徐々に落ちていく人もいる。生活習慣上の個人差も大きく、その症状や起こる時期にバラツキが出る。男性更年期障害は、どうも女性更年期障害に比べ、複雑であるようだ。

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