<今週のハイライト>
20~30代で急増する「社内うつ」(1)
~中途採用や派遣社員も要注意~
ナビゲーター/吉村 克己
2006年3月24日
心の病患者が40代から30代に逆転
20~30代の若手社員で「うつ状態」に陥る人たちが急増しているという。これまでは40代以上の管理職世代のうつ状態が顕著だったが、ここに来て若手社員まで症状が広がっているのはいったいなぜだろうか。
財団法人労務行政研究所が2005年1月から2月にかけて調査した『職場ストレス増大時代―メンタルヘルス対策の最新実態』調査によると、下記の表のように最近3年間で「メンタルヘルス不全者」が増加している企業は52%と過半数を超え、従業員1000人以上の大手企業では70%を突破している。ちなみに、ここでいうメンタルヘルス不全者とはうつ病・ノイローゼ・心身症など精神の不調を示す人を指す。

出典:(財)労務行政研究所「職場ストレス増大時代―メンタルヘルス対策の最新実態」より
増えている企業の中で、不全者の増加が目立つ年代層は30代が約40%と最も多く、次いで20代が約28%、40代は約19%と、20~30代の若手にメンタルヘルス不全者が増えている傾向が明らかになった。
メンタルヘルス不全により1ヶ月以上休職している社員がいる企業は約51%、1000人以上の企業で約79%に達する。
また、財団法人社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所が2005年2月に全国の労働組合に対して実施した『労働組合のメンタルヘルスの取り組み』に関するアンケート調査では約69%の労働組合がここ3年間、「心の病」が増加傾向にあると答えた。
前回調査(2003年実施)では増加傾向にある組合員の年齢層は40代が約43%と最も多かったが、今回調査では30代が上回り、約50%に達した。次いで40代が約36%となっている。
うつ病と“社内うつ”は違う
心理ストレス研究の第一人者であり、自ら企業でカウンセリングも行っている早稲田大学の小杉正太郎教授はこう語る。

早稲田大学
小杉正太郎教授
「私は現在、大手企業を中心に6社、4万人ほどのサラリーマンを対象にカウンセリングしていますが、最近は20代の若い人ほど相談に来ることが多くなりました。しかし、問題を抱えた企業で最も多いのは30代後半の働き盛り、特に中途採用者ですね」
うつ病は「心のカゼ」などと呼ばれ、誰でもうつ病にかかる可能性があると最近ではいわれるようになった。中には「生活習慣病の一つ」と説明しているようなサイトもある。
だが、小杉教授はカウンセリングルームに「自分はうつ病じゃないか」と悩んでやって来る人たちを相手にしながら、「これはうつ病ではない」とずっと感じていた。
「本当のうつ病というのは遺伝的要因が強く、睡眠がまったく保てず、全体的なエネルギーがひどく下がってしまう病気です。うつ病はどこの国でもいつの時代でも人口の0.3%程度しかいない。ところが、相談に来る多くの人たちにそんな症状はなく、確かに職場では意欲や集中力が低下するが、職場を出れば元気になるし、住んでいる地域では町内会の世話役なども熱心にこなしている。つまり、これは適応障害なんですね。そこで、私はうつ病と区別するために、これを “社内うつ”と命名したんです」
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