【今週のハイライト】ライブドア問題から見える株式市場の危うさ(3)
取引停止予告が投資家の不安をあおる
ライブドアの強制捜査開始の報道が伝わると、売り注文が殺到。個人投資家が急激な下げに大あわてで狼狽売りに走った。その一因としてマネックス証券が信用取引の担保からライブドア株を除外したことが指摘されていることは前回の本コラムで述べた。
18日は午前から売りによる大量の約定が発生し、午前立ち会い終了には232万件に達した。当時、東証の処理可能な約定件数は450万件。あわてた東証は証券会社に発注の集約を要請。つまりは小口注文の自粛を呼びかけたのだが、そんなことが通用するわけがなかった。あわせて、昼過ぎの記者会見で「約定件数が400万件を超えたら全銘柄について売買停止する」と発表した。
だが、いつ取引が停止されるかどうか分からないという予告が不安をあおって、さらに投資家の売りを促進したという指摘もある。
午後の立ち会いが始まっても売りは止まらず、午後1時33分に約定件数が350万件に達し、再度東証は「400万件を超えたら停止する」と発表。午後2時25分に400万件を突破し、ついに世界を代表する証券取引市場としては屈辱的な取引停止にいたった。
最終的な約定件数は438万件、注文件数は730万件を記録した。約定とは売りと買いが成立した件数(2件と計算)であり、注文件数は売り、買い、訂正などの総数である。
「売買システム」と「清算システム」の障害
こうした事態に東証の西室泰三社長兼会長は記者会見で「18日の処置は経営としての判断として間違っていないし、責任を取るつもりは毛頭ない」と断言した。
確かに取引停止はやむを得なかった処置かもしれないが、東証のシステムに対する考え方が甘かったのも事実である。
東証のシステムは「売買システム」と「清算システム」に分かれている。売買システムは証券会社から入った注文を瞬時に処理し、売りと買いを付け合わせるシステムで、富士通が開発を担当し、東証コンピュータシステム(TCS)が受託運用している。
この売買システムで約定したデータは清算システムで処理されて、日本の全証券取引所における売買の精算業務を行う日本証券クリアリング機構を経由して各証券会社へ送られる。以前は各市場でそれぞれ清算をしていたが、2003年から同機構が一元的に清算処理するようになり、効率化されたといわれている。
昨年11月1日にシステム障害が発生し、東証の全銘柄が取引停止になった原因は売買システムだった。1日当たりの注文処理件数の能力を750万件に増強する際に不具合が残り、それが障害につながった。
この作業を富士通と一緒におこなったTCSは本来、東証の完全子会社だったが、上場を目指していた東証が資本の効率化を図ろうとしたのか、株式の約65%を2002年に売却し、現在は富士ソフトABCグループの傘下に入っている。
子会社から切り離したことが悪いとはいえないが、この資本の移動でTCSのベテランSEが手薄になり、プログラムのミスを見落としたのではないかと指摘する声もある。
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