【今週のハイライト】ライブドア問題から見える株式市場の危うさ(2)
急増する信用取引でリスク高まる
一方、個人投資家にも今後、一定のモラルとルールが求められるようになるだろう。
株式市場の好調さと、ネット取引の普及によって個人投資家は急増している。東証の調べによれば、2005年における個人の株式売買(株数)は全体の49%を占め、2番手の外国人の36%を大きく引き離している。売買の金額では外国人が逆に49%を占め、個人は 33%だが、個人投資家の市場に対する影響力は大きい。
また、日本証券業協会の調べでは、ネット取引口座数は昨年9月末時点で約790万口座あり、さらに増加している。これはネット取引のすべての投資家が1日に1回売買すれば、東証のシステムがパンクする規模だ。
個人によるネット取引によって拡大したのが信用取引だ。2005年末の東京・大阪・名古屋3市場の信用買い残高は5兆2314億円と、バブル期以来の高水準に達している。ネット専業証券のマネックス・ビーンズ・ホールディングスとカブドットコム証券も信用取引が急拡大し、両社とも昨年12月末の信用取引残高は前年同期比の2倍以上に達した。
信用取引とは証券会社からおカネや株を借りて、株の売買をする取引だ。その際、証券会社に担保(保証金)として現金や株を差し入れるが、取引額の3分の1ですむので、結果的には3倍の取引ができる。つまり、手元資金が100万円なら300万円分の取引ができるということだ。したがって、うまくいけば利益も3倍になるが、失敗したら損失も3倍にふくれあがる。
ライブドアに検察の家宅捜査が入り、いったん持ち直した株価が急落した一因として、マネックス証券が信用取引の担保からライブドア株を除外したことが指摘されている。同社は原因にはなっていないと否定しているが、投資家からすればいきなり担保から除外されると、その代わりに新たな保証金を追加すること(追い証)が求められるためにライブドア株の売りがふくらんだのではないかというわけだ。
ただ、信用取引にはこうしたリスクが必ず存在し、いざというときの損失も大きいということを理解しておかないと思わぬ火傷をすることになる。
また、ライブドア問題とは無関係だが、個人投資家による取引ルールの逸脱も最近は目立ってきた。例えば、「見せ玉(ぎょく)」といわれる手法は大量の売買注文を出しておいて、取引の成立前に取り消すことだが、相場を意図的に動かそうとすれば、証券取引法違反となる。
以前ならこうした違法取引を個人投資家が行うことはほとんどなかったが、ネット取引による情報の入手と取引の迅速化で可能となり、急増している。
金融庁など規制当局はこうした違法行為の取り締まり強化を打ち出しており、個人投資家といえども悪質であれば、逮捕や罰金が待っている。
ネットによって株式取引の利便性は大いに高まり、投資環境もよくなったが、やはりそこには一定のルールが必要だ。ばれなければ何をやってもよいという考え方は経営者はもちろんのこと、市場関係者や投資家に対しても結局は自分にマイナスとなって跳ね返ってくることを今回のライブドア事件は見せつけたのではないだろうか。
<参考サイト>
●山根治氏「ホリエモンの錬金術」
●大和インベスター・リレーションズ「IRの話題~株式分割」([0307] 2006年2月3日)
●東証 「投資部門別売買状況」「信用取引残高等」
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