リポート:2006年、建築業界は「構造計算書偽造事件」からどう立ち直るか

政府が打ち出した支援策も、
基本的には現行の枠組みを活用したもの

耐震計算偽造・国交相に生活支援を要請する住民代表
公的資金による生活支援や移転先の家賃補助を北側一雄国交相(右)に要請する東京・江東区のマンション「グランドステージ住吉」管理組合の八住庸平理事長(東京・霞が関)

 問題は、トラブルがあった場合に、その賠償能力がないようなところから購入していた場合である。今回の事件では、耐震偽装があった分譲マンションを対象に、政府が支援策を打ち出した。そのスキームは、まず、地域住宅交付金制度を使って国が自治体に助成をする。自治体は都市再生機構に問題のマンションの買い取り依頼をする。この場合、上物の価値はゼロだから、居住者は土地価格相当分の代金を受け取る。都市再生機構はその土地に新たにマンションを建てる。居住者は、優先的にこのマンションを購入することができる。そのときの負担は、おそらく当初の購入代金より 1000万円から2000万円増しになるはすだ。問題となったマンションは、面積に比べて割安だったマンションだから、ある程度の負担増は仕方がないところだろう。

 もっともこの政府の打ち出したプランに対して手をあげた分譲マンションはまだない。それよりも、ヒューザーの破産申し立てをして、少しでも返金分を確保しようとしたり、容積率を上げて建て替え戸数を増やして買い直しの負担を減らしたりしようとしている。

大部分の建築関係者は課題を明確に意識

日経アーキテクチュア副編集長
高津 尚悟

 業界全体への影響ということで言えば、当分の間、マンションの買い控えが起きるかもしれない。しかし、日経アーキテクチュアのアンケートでも、多くの建築実務家が業界再生をどうすればよいかを真剣に考えている。特定の犯人探しをすることよりも、業界全体として信頼度をあげていくスキームづくりのほうが重要だ。

 そのアンケートによれば、業界改革のターゲットは「責任と義務があいまいな建築士制度」「特定行政庁や指摘確認検査機関のあり方」「ブラックボックス化した構造計算」「偽造やミスが見抜けない確認検査の手法」「問題が起きたときの補償・保険制度」とはっきり集約されている。今後の建築関連制度の見直しの中で、より強力なセーフティネットが作られていくだろう。

日経アーキテクチュア(2006年1月9日号)

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