リポート:2006年、建築業界は「構造計算書偽造事件」からどう立ち直るか
不可避だった確認検査の民営化、どう穴を埋めるか

耐震計算偽造・構造計算書偽造で緊急調査委員会
耐震強度偽装事件で開かれた「構造計算書偽造問題に関する緊急調査委員会」に出席したイーホームズの藤田東吾社長(右端)と日本ERIの鈴木崇英社長(左端)(東京・国土交通省)
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民間確認検査機関による確認検査は1998年に認められた。それまでは自治体(特定行政庁)しか建築確認ができなかった。単体規定として建物の基本性能、集団規定として容積率や斜線制限などをチェックする。そのために建築士は図面を提出、特定行政庁の建築主事が検査をしていたわけだ。
民間にも建築主事に相当する検査員を置けることになった最大の理由は、建築主事の慢性的不足が続き、検査が行き届かない状況が続いていたからだ。また、しっかりした中間検査、完了検査が必要になってきたという事情がある。阪神大震災で多くの建物が倒壊したが、完了検査率の低さ(罰則規定はあるものの、執行されたためしがないことが原因)が施工の手抜きを招いた側面があった。念を入れて中間検査も徹底する必要も出てきた。防災のためには、ビルだけでなく、一般住宅もこうした手続きを踏んで施工の手抜きを防ぐ必要がある。行政の建築主事だけではとても手が回らないので、検査の民間開放が決定された。欠陥住宅問題への対処と防災という側面からも、これはある程度は必要な措置だったと言える。
このとき日本弁護士連合会は猛烈な反対をしたが、その杞憂が現実になってしまった。やはり民間検査はどうしても手ぬるい面がある。官公庁である役所は業者にとって怖い存在なので、偽造など考えもつかない。これが民間となると、チェック機関というよりは、単なる「仕事の依頼先」になる。確認検査機関は乱立しており、割引券を配ったり雑誌広告を出したりして、積極的に「営業」をかけなければならない立場なのだ。どうしても「早い、安い、(甘い)」を売り物にせざるを得ない。官公庁の場合、担当する特定行政庁は建築する場所でおのずと決まり、選べない。しかし、民間の場合だと、営業範囲に入っていれば、どの確認検査機関に頼んでもいいので、さらに発注者の立場は強くなる。
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