リポート:2006年、若者の二極化は一層深刻化する
「こころの能力」が明暗を分ける

若い人たちの中でどう選抜が進められるのだろうか。大枠では偏差値の高い大学を出た人が大企業に入っているが、その中でコア正社員になっていくのは、主にコミュニケーション能力がカギとなる。どう相手の気持ちを理解し、どう自分の主張を伝えていくか…この力が大きい。あるいは、チームワークの中でリーダーシップをどう発揮できるかが問われている。日経ビジネスアソシエの読者でも、「コミュニケーション」の特集のスコアが非常に高い。それを伸ばすことがよい仕事につながると思っている読者がとても多い。雑誌の特集として「EQ(こころの知能指数)」が好まれるようになったのは、ここ2,3年だ。もちろんIQ(知能指数)も大切だとは思うが…。統計によると、下流の人たちが重視するのは「自分らしく生きたい」ということ。それに比べ、いわゆるコア正社員の人たちが重視するのは「コミュニケーション」。こころの姿勢の差がはっきりと収入格差につながてしまう。
この傾向をすでに学生が意識しているかどうかは、はっきりとは分からない。ただ、能力の高い大学生は、在学中からNPO活動やボランティア活動を大学の枠を超えて実践し、人的ネットワークの中で自分を磨き、コミュニケーション能力を高めている。既に大学を出る前に社会とかかわる豊富な能力を見につけている…こんな学生が増えている。優秀な人たちは社会の風を敏感に感じ取ってるということなのかもしれない。もっとも大多数の学生はそこに気づいていないだろう。優秀な人たちに関して言えば、40代、30代、20代と見てみると、若返るに従って確実にさらに優秀になっている。つまりマネージャーとしての適性がより高くなっているということだ。

トヨタの高級車「レクサス」販売店
全国一斉開業したトヨタ自動車の高級車「レクサス」販売店(東京・世田谷区の「レクサス用賀」)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)
企業の側はとっくの昔に二極化に対応した戦略をとっている。たとえば、トヨタ自動車は80年代に開設した「ビスタ」チャンネルを2004年5月に廃止し、若者向けの「ネッツ」店に衣替えした。その一方で2005年8月から高級車店舗の「レクサス」をオープンした。縮む中型セダン市場の戦線を縮小する一方で、低価格帯と高級車のチャンネルを重視しているわけだ。企業はリアリストだから、いち早く二極化を見抜いている。
リーダーシップに恵まれた人たちはどんな価値観を持っているのだろうか。これまでのリーダー候補生たちよりは、一企業の中で階段を上っていこうという意識は希薄といえる。それよりは、自分の名前で通用するビジネスパーソンになりたい、この業界でこの人ありと言われる社員になりたいという意識が高い。それは「スペシャリスト」としてではなく「リーダー」としてそうなりたい、「プロのビジネスパーソン」になりたいということ。ひとりの市民としてプライベートも充実させながら仕事面でも一流の人物になりたという意識が高い。
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