リポート:
男女共同参画社会を実現するために
『女性に対する暴力に関するシンポジウム』リポート

 11月25日、イイノホール(東京都千代田区)にて『女性に対する暴力に関するシンポジウム』が行われた。主催は内閣府。専門家や有識者による基調講演やパネルディスカッションを通し、女性に対する暴力について社会の意識啓発を図ることを目的に開催されたものである。今回はこのシンポジウムの様子をリポートする。

文/松本典子、写真/藤井誠
2005年12月1日

男女共同参画のために進む法整備

 内閣府少子化・男女共同参画担当大臣の猪口邦子氏は主催者挨拶として、「近年わが国の法律で女性に対する暴力は許されないという意識は高まっています。国としてもその保護と支援を進めることが重要です」と述べ、今回のシンポジウムののテーマである『男女共同参画基本計画の改定』『人身取引対策』『改定配偶者暴力防止法の現状と課題』の重要性を訴えた。

 続いて『男女共同参画基本計画の改定について』の基調講演を行ったのは、専修大学法科大学院教授副院長の岩井宣子氏である。平成11年6月23日より施行されている、『男女共同参画社会基本法』の第13条に基づき、政府が定める改訂計画では、「女性に対するあらゆる暴力を根絶するための社会的認識の徹底や、基盤整備を行うとともに、暴力の形態に応じた幅広い取り組みを総合的に推進すること」(岩井氏)が目的である。そこに掲げられた具体的施策は、平成17年度末までに実施することが定められており、以下の7項目がポイントだといえる。

『女性に対する暴力に関するシンポジウム』配布資料より

 平成16年7月28日に男女共同参画会議への諮問が行われた後、『男女共同計画に関する調査会』『女性の暴力に関する専門調査会』で検討がなされ、平成17年5月13日に中間整理を公表、7月25日に専門調査会が報告書として取りまとめ、男女共同参画会議に報告される。男女共同参画会議から内閣総理大臣へ行われる「基本的考え方」についての答申を踏まえて作成された政府案は、男女共同参画会議で諮問・答申が行われ、晴れて『新男女共同参画基本計画策定』となる予定だ。

「防止」「撲滅」「保護」が人身取引対策の要

 『人身取引対策について』の基調講演を行ったのは、内閣官房内閣参事官の荻野徹氏である。今回は政府の取り組み方に絞って概要や対策、その流れを中心に説明がなされた。「人身取引は重要な人権侵害であり、人動的な観点からも迅速・的確な対応が求められています。そこで必要となってくるのは、総合的・包括的な対策を早急に講じるための行動計画の策定です」(荻野氏)。そのためには、被害者を“保護の対象”として位置付けるきめ細かな対応や、刑罰法令の整備と取り締まりの強化、人身取引を許容する要因となっていた諸制度の改定を含めた、人身取引の防止が重要となる。

 人身取引の実態を把握した上での総合的・包括的な人身取引対策としては、「防止」「撲滅」「保護」が3本柱となる。「防止」の諸対策としては、出入国管理の強化や旅行関係文書のセキュリティ確保が上げられる。「興行」では在留資格や査証の見直し、偽装結婚対策、不法就労防止の取り組み、売買春防止対策、「撲滅」では、刑事法制の整備や取り締まりの強化、旅行文書等に関する情報交換の推進、諸外国の捜査機関等との連携強化及び情報交換の推進(警察においても在京の大使館と連絡会議を定期的に実施)である。「保護」に関しては、被害者の認知や各都道府県に設置された婦人相談所の活用や民間シェルター等への一時保護委託、カウンセリングや相談活動等の実施、交番等に駆け込んだ被害者の保護、被害者の在留資格の取り扱い(在留特別許可の付与)、被害者の安全の確保、被害者の帰国支援(国費送還、国際移住機関を通じた帰国支援)など。また関係職員の訓練にも力を入れているという。

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