アスベストは自分で監視し対策を
アスベストから身を守るために
・ビルの解体や改築工事の現場ではアスベストが飛散する可能性が高いため、むやみに近づかない。一般の民家でもスレート瓦などの屋根材や外壁材などにアスベストが含まれていることは多いが、解体の際、何の対策も取られていないのが実情だ。なるべく近寄らずに、足早に通り過ぎるのが無難だ。
・新たに自分が住宅を建てる時やリフォームをする時には、ノンアスベスト建材を使うよう業者に指定する。
・アスベストを使用した家を取り壊す時や、アスベストを取り除く時には、工事費が高くても必ず専門業者に依頼する。自己流で取り除こうとするのは危険だ。
・住宅大手の積水化学工業や、パナホーム、旭化成ホームズなどは、既に建設した住宅に関してアスベスト使用を通知したり、ホームページ上で使用用途を公開している。心配ならば、自宅を造った建設会社に問い合わせてみる。
・アスベスト含有製品でも、屋根材や壁材、ボードのようにアスベストが固定されている製品は、劣化しなければ安全と考えていい。ただし、切断する時には要注意だ。日曜大工でアスベスト含有建材にのこぎりを入れて、被害にあった人もいる。
・頻繁に出入りする公共施設で、アスベスト吹きつけの耐火被覆らしきものが露出している時には、情報公開の手続きに従い、設計図の閲覧を請求してみる。
・2000年頃までアスベスト製の自動車用ブレーキパッドが作られ、使用されてきた。自分の車が古いタイプなら、ブレーキパッドの材質を確認し、アスベスト製の場合はノンアスベストのものに替える。
・たばこは吸わない方がいい。アスベストとたばこの相乗効果で一層ガンになりやすくなる(一定量のアスベストを吸った経験があり、たばこも吸う人は、両方とも吸っていない人に比べ50倍以上もガンになりやすい)。
・アスベスト含有製品は国内では製造中止となっているが、在庫や輸入品が販売されている可能性はゼロではない。建材などを購入する時はノンアスベストであることを確認する(アスベスト含有製品は「a」マークで明示されている)。
・一人ひとりがアスベストをまき散らさないよう責任を持つ。同時に周囲の人が建物の解体をする時には注意を怠らない。
80年代までの耐火被覆に注意
では、リスクを少なくするにはどうしたらいいのだろう? 何よりも、アスベストがどこに使われているかを知り、なるべく吸い込まないよう努力することである。
「時限爆弾」は、95%以上が建築物や建材に仕掛けられている。例えば、1989年頃までに吹きつけられたビル鉄骨の耐火被覆(火事の時の溶融を防ぐため、鉄骨を被覆した耐火材)には、アスベストが含まれている可能性が高い。
アスベストの吹きつけは75年に禁止され、安全とされるロックウール(岩綿)の吹きつけに移行したが、100%ではなかった。法律には「抜け道」があり、実際には、ロックウールに5%以下のアスベストを混ぜて吹きつけることは許されてきた。しかもアスベストの含有率を10%以上に高めて吹きつけられた悪質な例も確認されている。
ところが吹きつけられているものが、「アスベスト」なのか「ロックウール」なのか、さらには「アスベスト含有のロックウール」なのかは、外見上判別できない。アスベスト含有ロックウール材は88年まで製造されたため、流通在庫がなくなる89年頃までに吹きつけられた耐火被覆にはアスベストが入っていると想定したほうがいい(ただし「95年頃までアスベスト含有ロックウールの吹きつけは行われていた」と証言する一部工事業者もいる)。
少なくとも80年代までに建設されたビルで耐火被覆の表面が劣化している場合には近づかないことだ。古いビルの解体やリフォーム工事の現場も、アスベストが飛散する可能性が高い。むやみに近づくべきではないと専門家は指摘する。民家の解体工事も同様で、スレート瓦を乱暴に割りながら解体するような現場では、アスベストが飛散している可能性が高い。
アスベストが大量に使用された60年代から80年代の建造物の取り壊しが進む今後、被害はさらに拡大すると懸念されている。あなたの家にアスベストが使用されていることを知っているのに、対策を講じず無責任に取り壊せば、他人に被害を及ぼすことになる。市民一人ひとりの責任と、監視が必要になっているのだ。

上記の記事「アスベストは自分で監視し対策を あらゆるところに潜む『石綿リスク』をどう避ける?」は、『日経ビジネスアソシエ』2005年9月6日号の時事ニュース解説ページ(大人ニュース)に掲載したものです。
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