リポート:
地震に耐えられる家とは?
木造住宅の耐震補強が守る、家族の命(後編)

大規模地震の被害を最小限に抑えるために

 前編では、木造住宅に住む人の命を震災から守る“最も有効なリスク軽減方法”として、木造住宅に対する耐震補強の重要性を説明した。この後編では、耐震診断の内容や補強工事の費用、安易なリフォームが住宅に与える危険性などについて、前回同様、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(略称:木耐協)事務局長西生建氏の話から紹介する。

文/藤崎典子、写真/小林嘉樹
2005年9月15日

前編はこちらから>>

信頼できる業者を選ぼう

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合事務局長 西生建氏

 住宅の耐震診断を受ける際、まず考えなければならないのが「信頼できる事業者」選びだ。

 高額で補強効果の低い工事を行う悪質な事業者のニュースが後を絶たないのは、各自治体などで認定された「耐震診断士」はいても、耐震診断をするのに国で定められた資格などがないという現状によるところも大きい。

 「木耐協の場合は、組合の開催する『耐震技術認定者講習会』を受講し、合格した『耐震技術認定者』が診断を行います。受講資格は、一級・二級・木造建築士、もしくは7年以上木造建築工事業に従事していると会社が認めた者で、3年に1回の更新も義務付けています。耐震診断や耐震補強は、阪神・淡路大震災以降に開発された新しい技術であるため、一級建築士や事業者の中には、耐震に関する経験がほとんどない方もいます。業者を選ぶ時には、資格の有無、診断・補強経験の有無に気をつけることが必要です」──西生氏はこう注意を促す。

 信頼できない事業者を見分ける目安には、以下のようなチェックポイント(目安)が挙げられる。これらの項目に該当するような事業者であれば、選択肢からは外しておく方がよい。

耐震診断の中身と費用は?

 耐震診断では、住宅の床下や屋内、天井裏、外観などをチェックし、地盤・基礎・壁のバランス(建物の形・壁の配置)・壁の量(筋交い・壁の割合)・老朽度を調べる。調査に要する時間は2~3時間程度だ。

 調査したデータは一度、木耐協の事務局に集められ、報告書が作成される。建築士と木耐協の連名で発行される『耐震診断結果報告書』には、診断結果だけでなく、効果的な補強設計の提案が記載されるという。

 こうした耐震診断で住宅の“弱点”を見極めたら、次はいよいよ補強工事となる。既存の住宅への基本的な工事内容は、(1)瓦屋根を鋼板などの素材に取り替えて軽量化する、(2)筋交い(すじかい)や構造用合板などで壁を強くする、(3)『ホールダウン金物』などで柱と土台の接合部を補強する──ことが挙げられる。

 木耐協で請け負う工事費用の平均金額は約120万円とのこと。しかし、耐震診断を受けた人に行ったアンケート調査によると、「耐震補強にかけられる費用は50万~100万円」という回答がもっとも多かったという。

 「現実の工事費用と各依頼者の希望額には、実は50万円から100万円ほどの差があります。耐震補強工事は『ここまでやったから、絶対に倒れません』と言い切れるものではありません。その点を理解した上で補強を進めていくしかないのですが、経験と知識が蓄積されるにつれ、事業者側の『妥協できるポイント』はどんどん上がって行く傾向にあるため、施工単価も高くなっていきがちです。

 とはいえ、多くの人は、いつ来るかわかない地震に備えて、あまりたくさんの金額はかけられないというのが正直なところだと思います。いかにコストを安く抑えるかというのは、私ども組合の大きなテーマでもあります」(西生氏)。

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