リポート:
地震に耐えられる家とは?
木造住宅の耐震補強が守る、家族の命(前編)
「壁の量」が耐震性を左右する
6433人の尊い命を犠牲にした阪神淡路大震災では、8割を越す人が家屋の倒壊などによる窒息死や圧死で亡くなったと報告されている。家族を守るための家を“命を奪う凶器”にしないためにも、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合事務局長の西生建氏に「今しておくべきこと、できること」について話を聞いた。
文/藤崎典子、写真/小林嘉樹
2005年9月9日
まずは住宅の耐震診断を受けよう
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)は、1998年(平成10年)に民間の任意団体として発足。翌99年(平成11年)に法人資格を取得し、現在は旧建設省(現在の国土交通省)を主務官庁とする協同組合として活動している。全国の工務店やリフォーム会社、設計事務所など約850社が中心となり、木造家屋の耐震診断・耐震補強の普及啓蒙活動を行っている。

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合事務局長 西生建氏
木耐協は、組合設立以前から『無償の耐震診断』(※1)を続けてきた。木耐協の各組合員が、無償で動ける期間やエリアを記したチラシを新聞に折り込むなどで配布し、診断対象住宅を募集、希望者には無料で診断サービスを行ってきた。これまでの実績は10万6千棟。今では月平均で2000件前後の申し込みがあるというが、始めた当初はほとんど反応がなかったという。
「耐震診断には建築士の手間が丸2日ほどかかります。診断に対する代金を頂くとすれば、10万円から15万円ほどになるでしょう。しかし、それだけの金額を払って耐震診断を受ける人は、なかなかいないのが現状です。耐震補強が行われた住宅が普及していくために、私たちは無償で住宅の診断を行っていますが、『ただより高いものはない』と悪質リフォーム業者に間違われ、警戒されてしまうこともあります」と、木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)の事務局長である西生建氏は語る。
利用者側に立てば、確かに「分からないこと」を「知らない人や業者」には頼まないものだ。木耐協は、民間の任意団体から協同組合化したのには大きな理由がある。「協同組合という名で診断を行ったり、広報活動を行い知名度を上げていけば、人々にはより安心感を持ってもらえると考えたのです。各会員や組合員に何か問題が起これば、すべて事務局できちんと対応する、といった体制などが整うにつれ、無料耐震診断の申し込みは増えてきました」(西生氏)。
耐震診断を受けることは、住宅を耐震補強するための最初のステップだ。しかし、耐震補強の重要性は何となく理解しつつも、震災を“対岸の火事”ととらえている人はまだ多い。
「いつか大地震が来る、という認識は漠然とあっても、その時に自分がどうなるかというリアリティは、ほとんどの人が持っていないと思います。家にいる時間は、寝ている間を含めると約8時間。ということは、家さえ潰れなければ、地震で死ぬかもしれないというリスクは、人生から3分の1減らせるのです。
耐震補強ほど確固たるリスクの軽減方法はありません。避難所暮らしをすることも、大切な家族を失うことも、二重ローンを背負うことも避けられる、ということをより多くの人に自覚して頂きたいのです」と、西生氏は強調する。
※1 無償の耐震診断:木造住宅の耐震診断で対象となるのは、在来工法2階建て以下。在来工法は『木造軸組工法』とも呼ばれる、日本の伝統的な建築方法だ。柱や床梁(はり)などを軸とし、これに壁や床を付けていく構造となっている。
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