※1 ごっつん盗:『こっつん盗』とも呼ばれる。本文中ではごっつん盗に統一。
文/鶴岡和也、写真/藤井誠
2005年8月26日
多様化する自動車盗難の手口
社団法人日本損害保険協会(以下、損保協会)の取り組みの一つが、自動車盗難対策の広報・啓発活動である。同協会が、2004年11月の1カ月間に車両保険金の支払いを行なった事案に関する実態調査の結果によると、1429件の車両本体の盗難のうち、屋外の契約駐車場での発生が650件と群を抜いて多くなっており、人目の少ない深夜から朝に集中して、自動車の盗難は発生していることが分かった。
車種別で見ると、高級車に加え、市場でも人気のRV車の盗難の増加が目立つ。また、車中の物品を盗み出す『車上狙い』については2897件報告され、前年の調査でトップだったオーディオを抜き、カーナビが全体の25.5%で被害品の第1位になった。平均の被害額も26.5万円と、前年より1.6万円も上昇したことからも、より商品価値の高いカーナビに窃盗犯の狙いが移行したといえるだろう。
クラス別盗難状況(車両本体盗難)について。2004年11月の1カ月間に車両保険金の支払いを行なった1429件が対象。なお、図中におけるクラスは以下の通り。
車上狙いの調査結果について。2003年は「CD等のソフト」の項目の調査は行われていない。横軸の%(パーセント)は、被害品総数に対する当該被害品の割合を指す。1件の事故で複数の被害品がある場合も含まれる
損保協会の自動車盗難対室長である新井吾一氏は、「自動車の盗難グループは、窃盗からナンバーや車体の偽造、輸送、販売まで細かく組織化され、独自の海外ルートで不正輸出を行い、売りさばくため、盗難後の追跡は困難を極めます。また、最近は特定の車種や物品に絞って狙うケースが増えているとともに、盗難の手口もより巧妙化してきています」と語る。
日本損保協会 自動車盗難対室長
新井吾一氏
「『イモビライザ』(電子式移動ロック装置)の普及によって、不正なキー操作による盗難が難しくなってきましたが、そのために『ごっつん盗』などキーが付いたままの状態で盗もうとする新たな手口も急増しています」と新井氏は続ける。
イモビライザとは、キーと車両本体に埋め込まれた複雑なIDコードが電子的に一致しない限り、エンジンが物理的にかからないという盗難防止装置のことで、現時点では最も有効な盗難防止装置とされている。
しかし近頃、被害報告が増えている「ごっつん盗」と呼ばれる手口によって、イモビライザが付いた自動車も盗難に遭っているのが現状だ。
ごっつん盗とは、信号待ちなどで停車している高級車に後ろから軽く追突し、追突された車の運転者が加害者と話し合ったり、傷を確認しようと車外へ出た隙に、別の仲間が車に乗り込み、追突車と共に逃走してしまうという手口である。愛知県や大阪府を中心に一昨年頃から被害が増え始めており、最近では8月10日に大阪府で同手口によってポルシェが乗り逃げされたばかりだ。「ごっつん盗という名前を浸透させることで、運転者の防犯意識を高めていきたい」と新井氏は語る。
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