製品ウオッチャー 進化するバイオメトリクス――(5)顔認証

顔認証は最も親しみやすいバイオメトリクス(生体認証)と言われる。確かに、離れた位置から装置を見るだけで本人確認ができる顔認証は、装置に指や手を置く方式に比べると抵抗感は少ないだろう。最近は装置を見なくとも普通に通り抜けるだけで本人確認ができるウォークスルータイプも登場しており、抵抗感は一層薄れる。その意味で顔認証は、「顔」という“万人不同”の要素と親しみやすさを兼ね備えた生体認証、言い換えれば「セキュリティと利便性」に優れた生体認証ということになる。この長所が評価されて顔認証の応用分野は拡大しつつある。PCや携帯電話への搭載はもとより、最近は顔認証機能付たばこ自販機も登場した。生体認証は、顔認証によって普及にドライブがかかりそうだ。

文/日高 俊明
2007年12月19日

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顔認証の長所はセキュリティと利便性

図1:東芝の顔照合システム「SmartConcierge」 図1:東芝の顔照合システム「SmartConcierge」

 2007年3月、日本初の歩行顔照合システム「SmartConcierge(スマートコンシェルジュ)」(図1)を発売した東芝。同社産業システム社セキュリティ・自動化システム事業部セキュリティ技術主幹の静野正明氏は、生体認証における顔認証の優位性をこう語る。

 「顔認証のよさはセキュリティ面の性能もさることながら、利便性に優れること。つまり認証装置から離れて、ハンズフリーで照合ができる。例えばケガをして松葉杖をつき両手が塞がっているような場合でも、本人確認のためにカードを探したりする必要がなく、装置を見るだけで済むので便利。とくにスマートコンシェルジュはわざわざ装置を見る必要もなく、ウォークスルーでそのまま通ればよい。障害者も車椅子のまま通過して顔認証ができる」

 スマートコンシェルジュは通常の監視カメラの解像度(VGA=600画素程度)よりもワンランク上のカメラを採用しており、約4m離れた人の顔を照合に必要な解像度で撮影することができる。つまり遠くから歩いてきた対象者が約4mの距離に近づいた段階で撮影を始め、数十枚の画像を撮る。そして十分に画像が撮れた段階で照合を開始する(図2)。認証時間は約1秒である。

図2:ウォークスルーで顔認証が可能に(東芝) 図2:ウォークスルーで顔認証が可能に(東芝)

 ただし、スマートコンシェルジュの配置によってはウォークスルー認証ができないこともある。例えば通路の途中に観葉植物などがあって歩行者と画像が重なるような場合だ。観葉植物はドアと並ぶような配置であれば問題はない。スマートコンシェルジュのシステム価格はクライアント装置1基、クライアント制御部・管理用PC・データベース各1台のシステム構成で270万円から。データベースサーバーは、ネットワークに直接接続して使用するNAS(Network Attached Storage)を採用。2007年11月から本格出荷を開始しており、既に大手の工場で2システムが稼動している。

 指紋や静脈が一生不変なのに対して、顔は年ともに変化する。そこが顔認証の弱点だが「スマートコンシェルジュの場合、学習機能があるので定期的に利用してもらえれば顔の変化を学習するので問題はない」(同)という。もっとも、数年間のブランクがあり顔貌がかなり変わってしまった場合には顔データの再登録が必要なこともある。顔データの登録は、スマートコンシェルジュを一度通過すればよい。

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