開発キット、基盤、関連装置なども相次ぐ
図5:他人許容率0.00001%以下の高精度な指紋認証ユニット(エリア)
搭載するセンサーや照合アルゴリズムの技術レベルによって、指紋認証装置の価格は1万円前後の普及型からNECのエリア型(指を置く方式)の「指紋認証ユニット」(標準価格3万9,800円)のように4万円前後の高級型までさまざまだ(図5)。また、最長20メートルまでの認証が可能な「指紋認証リモコンキー」(Knet、オープン価格)、指紋認証装置内蔵マウス(日本セキュアジェネーション、価格2万4,800円)といったものから、指紋認証専用スキンクリーム(乾燥指対策)などの小物にいたるまで、指紋認証関連製品は豊富になってきている。
指紋認証は水に弱いといった弱点も指摘される中、新たな技術開発も進む。その一つが、シーモンが開発した「OptoPlus(オプトプラス)」という新技術。材質による屈折率を考慮した独自の光経路を設計することによって、肌から反射する光だけがイメージセンサーに入力され、水による認証精度の低下を防ぐことが出来るという。また同社は「LiveOlus」という新技術も開発し、偽造指によるハッキングを不可能にした、としている。
乾燥した指や汗ばんだ指、さらには偽造指に対しても高い効果を発揮する技術は他にもある。三菱電機の「指透過認証」だ(図6)。これは光透過率変化検出式と呼ぶ方法で、指の内部の真皮層まで検出できるもの。これによって乾燥指などへの対応率は99%以上を達成している。
図6:三菱電機の「指透過型認証」の検出方式
偽造指は生体反応を見ることによって対応するが、どういう生体反応を見るかはメーカーによってまちまち。「偽造指を防御する対策にはいろいろな方法があるが、偽造の技術も新たなものが出てくるため、100%確実な対策は存在していない」(NECの小林正幸氏)という。だが指紋認証が今後さらに普及していけば、偽造指などへのハッキング対策も必要になる。
新たな“指紋認証ソリューション”の構築に向けた開発キットや開発基盤も増えつつある。例えばNECは、「指紋認証開発キット」として指紋認証ユニットおよび指紋の登録・照合機能を利用するアプリケーションプログラムインタフェース(API)を提供している。価格はクライアント/サーバーシステム用が30万円から、WEBシステム用が40万円から、AD版(ActiveDirectry環境)が40万円から。
DDSは2007年11月から、「多要素認証基盤EVEMA(Multi Authentication)」の出荷を始めた。EVEMAは指紋認証をはじめとする生体認証、ICカード認証など、さまざまな認証方式を統合的に利用可能にするクライアント/サーバー型のソフトウェアで、オープン価格。EVEMAの開発背景についてDDSは、同社の指紋認証ソリューション「UBF」の大手ユーザーから、指紋認証だけでなくICカードや他の生体認証を統合した環境で複合的に運用したいといった要望が多かったことなどを挙げている。
日本セキュアジェネレーションは2007年10月、Webアプリケーション向け指紋認証パッケージソリューション「Secu@PASS」(セキュアットパス)の販売を始めた。これは、既に使用中のWebシステムに対して、追加の開発を行わずに指紋によるアプリケーション認証の実装を可能にするもの。同社では「ソフトウェアの導入と指紋登録を行うだけで即日利用可能」としている。
こうした開発環境の整備が、より有効な指紋認証ソリューションを生み出し、安全安心なシステム、より正確な認証システムの構築を支援することになる。次回は「静脈認証」の動向を探る。
この連載のバックナンバー
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