ユーザー事例 入退室管理システム導入による安全安心の向上が利用者増に貢献――綾瀬厚生病院
入退室管理システムを導入することによって、妊婦に分娩の際の安全安心を提供し、利用者を増やしている病院がある。医療法人社団柏綾会 綾瀬厚生病院(神奈川県綾瀬市、徳永唯志院長)だ。同院は2005年(平成17年)8月、母子センターをオープンし、そこで入退室管理システムを稼動させている。
システム導入の背景には新生児の連れ去り事件が全国で起きていたということがある。そこで母子センターをオープンするに当たってその対策を考えた。「当初は赤ちゃんの足にRFIDタグを付け、部屋を出たらアラームを鳴らすといった方式はないのか検討した。だが大量生産品向けには安価なシステムがあるが、少量ではなかった。少量に対応しているシステムとして、大きな名札を首から下げるような方式はあったが実用的ではない。そこで最終的に部屋単位での管理にした」(同院事務次長兼渉外課長の野添晃秀氏)。
入退室管理システムの対象となるのは4階建ての母子センターのうち、2階の分娩フロアと3階の病棟フロアで、個室が8室、4床部屋が1室の合計12床構成。管理に使うカードは、当初はホテルのカードキーのような使い捨て方式を検討したがコスト的に合わないことから、繰り返し使える非接触のプラスチックICカードを採用したNECインフロンティアの「SecureFrontia」を導入した。カードごとに有効/無効を設定できるので、万一カードを返してもらえない場合は無効にしている。
最近の分娩では家族が寝泊りすることも少なくない。そこで宿泊が可能な個室に関しては妊婦と家族にカードを1枚ずつ渡している。病室は同じようなドアが並んでおり、利用者は慣れていないので間違って入室する可能性もある。入退室管理システムでその部屋しか入れないようにしているわけだ。部屋から出る際、カードは不要である。
カードはスタッフも患者も同じカードを使用する。スタッフのカードは個人名が入った専用、患者用はローテーションで使う。合計約100枚を用意しているが、患者用は合計12床なので最大24枚あれば足りる。今回の入退室管理システムはカードごとに入室できる権限を設定できるので、例えばスタッフは24時間365日、いつでもどの部屋でも入室可能という権限を設定しているのに対して、厨房や配膳、掃除の職員は時間が設定されており、時間外には入れない仕組みだ。
今回の入退室管理システムの導入について野添氏は「費用対効果を上げながら、スタッフの動線が制限されすぎないよう、いかにセキュリティをかけるエリアを設定するかに苦労した」と語る。2階と3階フロアの中央部分にあるエレベーターホール、および奥にある階段に向けて24時間監視カメラも設置している。
入退室管理システムに対する患者からの評価は高い。「退院時にアンケートを書いてもらっているが、こうした入退室に関するセキュリティシステムがあって安全なのでここを選んだという回答が多い。里帰り出産だと思うが、利用者の住所を見ると綾瀬市内だけでなく遠隔地からの利用も多い」と野添氏は胸を張る。
母子センター開設当初、それほど利用者は多くなかった。だが連れ去り事件が頻発し、その対策の好例として同院の入退室管理システムが新聞やテレビで紹介され、認知度が高まって以降、利用者は急増した。現在、月間50分娩で施設としては満杯状態という。
従って入退室管理システムに対する同院の評価も高い。「満足している。セキュリティがあってよかったという事件は、幸いにして起きていない。利用者が増えるなど副次的効果としては高い。より安全なところのほうがよいという利用者の意向の結果だと思う」。
同院の現在の病床数は分娩の12床も含めて合計191床、複合科目の診療科目を持っているのは綾瀬市内では綾瀬厚生病院だけである。実は同院が母子センターをオープンした当時、綾瀬市内における年間出産は800件だった。その半分を担当できればよいとの判断でスタートしたが、現状は600件に達しており、目標を上回っている。
現在、同院の全体の入退館はテンキー操作による暗証番号に電気錠である。母子センターも、センター全体の入退館はテンキー方式であり、将来的には、これをもっと強化したい考えだ。「現在のシステムに赤ちゃん個々の出入りを管理できるシステムが比較的簡便に取り込めるようになるのであれば、今後導入を考えたい」と野添氏は語っている。
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