製品ナビ 入退室管理システムの最前線 ― 前編―

豊富な実績に基づく独自の先進技術とノウハウ「MELSAFETY」――三菱電機

 三菱電機の入退室管理システムには「MELSAFETY-P(メルセーフティ・P)」および「MELSAFETY-G」がある。

 MELSAFETY-Pは同社の永年の経験やノウハウを集約し、コストを抑え、1扉からでも簡単に導入できるようにしたパッケージ製品。電気錠制御盤と認証端末だけの基本的な運用から、管理パソコンによるハイレベルの入退室管理までを実現する。

 一方、MELSAFETY-Gは顧客のニーズに応じ、入退室管理に加えて画像監視やセンサー監視などを統合化する「統合ビルセキュリティーシステム」だ。拡張性に優れており、数扉の小規模構成から約1000扉の大規模構成まで対応する。認証端末も三菱オリジナルの生体認証装置をはじめ、非接触カードリーダー、マルチカードリーダー、セキュリティーゲートなど、さまざまなタイプをラインアップしている。

図10:世界初の「顔・指認証装置」

 MELSAFETYには三菱電機の先進技術が随所に見られる。例えば世界初の“光透過率変化検出方式”を採用した「指透過認証装置」、「カメラインターホン付カードリーダ」、顔認証と指透過認証を組み合わせた世界初の複合生体認証「顔・指認証装置」(図10)などである。

 指透過認証は指内部の真皮層を検出するため、従来の指紋認証では難しかった乾燥した指や汗ばんだ指でも99%以上対応できるのが特徴だ。金庫などの機器への組み込み向けのデスクトップタイプと、入退室管理などに向けたゲートタイプの2種類があり、後者は2006年1月から出荷を開始。価格は49万円から。金融機関、データセンター、研究所など、高いセキュリティーを求められるエリアで導入されている。

 カメラインターホン付マルチカードリーダは、カードリーダーとインターホン機能を統合した1台2役。カード照合をしたときに本人の画像を記録できるのが特徴で、カードを拾った人が使うとその場では認証するが、画像を記録するのでその後の追跡ができる。

 顔・指認証はAND認証とOR認証がある。AND認証にすれば、顔と指の両方で認証するのでセキュリティーレベルが上がるし、OR認証にすれば顔だけでも指だけでも使えるので利便性が上がる。従って、セキュリティー重視の場合はAND認証、利便性重視の場合はOR認証を使うといったように、ソフトウエアによる切り替えによって利用シーンによる使い分けが可能だ。

 指透過認証にしても顔・指認証にしても、他では見られない認証方式。それを可能にしている理由について三菱電機では「生体認証を自社で開発しているメーカーは意外に少ない。開発していても、指紋だけ、静脈だけに限定しており、多くを手がけているケースは少ない。当社の場合は指紋、顔認証の両方を手がけているので、それをつなげられるメリットがある」(ビル事業部ビルシステム第三部システム技術企画課担当課長の田中一廣氏)とする。

 ただし、生体認証技術は現段階では完全ではないと、同氏は明かす。「指紋は犯罪捜査でも使われており確立されていると思うが、例えば顔は経年変化していくので、それにどう対応するかは簡単ではない。確率からいうと虹彩が高いという指摘もあるが、精度が高いから使えるかというと、必ずしもその限りではない。つまり虹彩はのぞき込まなければならないので、抵抗を感じる利用者も少なくない。また、目の細い人には向いていない。従って、ひとくちに生体認証といっても適不適があると思う」。

 生体認証をうたっているベンダーは少なくないが、生体認証は適用できる技術の拠りどころがないとビジネスの継続は難しい。従って利用者は、ベンダーの実績やバックアップ体制がしっかりしているところを選ぶほうがよいと、田中氏は指摘する。

 今後の入退室管理システムについて三菱電機は、生体認証や共連れ検知などに関連した画像処理技術は進化していくと予想している。例えば光の影響を受けやすい弱点などの改善、カメラの進化、画像処理のアルゴリズムの進化などである。また、長距離のRFID技術との融合によるモノのID管理や、ワークフローをはじめとする情報システムとの連携、入退室管理業務のアウトソーシングなども進むと見る。

 入退室管理システムは、エレベーターなどとの融合も始まっている。エレベーターの場合、カードリーダーをエレベーターホールに設置する場合とエレベーターのカゴ内に取り付ける場合の二通りがある。前者は、カードで照合するとエレベーターを呼べる。後者の場合は、カードをかざすことによって自分の行ける階のボタンが押せるといった仕組みだ。就業時間が過ぎてその階に人がいなくなるとエレベーターはその階には止まらない、といった管理システムもできている。

 三菱電機の場合はさらに2006年7月から、「MELWATCH(メルウォッチ)」という広域侵入検知センサーの提供も始めた。敷地の境界や建物の周囲などの地面に2本のセンサーケーブルを平行に敷設して電流を流すだけで、電界による検知エリアをつくり、侵入位置を検知できる。カメラによる追尾も可能。犬や猫などの小動物が侵入しても誤検知が少ない。既に納入実績もある。

 同社はセキュリティー全般における実績が豊富であり、システム導入や運用に関するコンサルティング、システム設計、施工、保守まで一貫してサービスを提供する。グループ企業の三菱電機ビルテクノサービスと連携して全国規模のメンテナンス網を構築し、全国に点在する企業への24時間365日体制での保守対応も可能にしている。

 次回は入退室管理と業務システムの連携を中心に、企業の課題解決ソリューションとしての入退室管理システムにスポットを当てる。

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