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増える「めまい」にご用心
自己管理で「生活習慣」を健全に

ストレスが誘発する「めまい」が増加していると言われます。
でも、心配は要りません。ストレスを上手にコントロールし、生活を改善すれば、めまいの多くは防ぐことができます。

文/中野優、イラスト/松本孝志
2005年7月14日

回転性のめまいの「グルグル型」

 最近、めまいを訴える人が増えています。ストレスの増加による生活習慣の変化が原因とも言われます。

 実は、一口にめまいと言っても、その症状は一様ではなく、大きく分けて三つのタイプがあります。周囲や天井がグルグルと回る、回転性の「グルグル型」。真っ直ぐ歩けない、足が地に着かないといった感じの動揺性・浮動性の「フワフワ型」。立とうとした時、または立っている時に気が遠くなったり、目の前が暗くなる、いわゆる立ちくらみタイプの「クラクラ型」――この三つです。

 めまいのタイプが分かると、原因疾患も推定しやすくなります。

 例えば、グルグル型なら、耳鼻科的な疾患が疑われ、メニエール病や突発性難聴、良性発作性頭位めまい症などの可能性があります。また、フワフワ型であれば、眼科疾患や首・肩の凝り(筋緊張)、心因性めまい(うつ病)を、クラクラ型は起立性低血圧や椎骨脳底動脈循環不全、不整脈などを疑うことになります。

めまいを感じたら、すぐ受診
重大な病気の兆候の場合も

動揺性・浮動性のめまい「フワフワ型」

 このほか、めまいには、脳卒中や脳腫瘍といった生命に危険を及ぼす病気が隠れている“怖い”ケースもあります。従って、めまいに襲われたら、まずは病院で診断を受けて下さい。この時、めまいのタイプが分かれば、どの診療科を受ければよいか、判断しやすくなります。

 めまいは怖いものばかりではありません。治療は必要ですが、ストレスをコントロールし、生活習慣を改善すれば、再発を予防できるケースも多いのです。最近、めまいが生活習慣病の一 つだと考えられるようになってきたのも、このためです。

 まずは、めまいが生じるメカニズムを知っておきましょう。

 めまいの原因として最も有名かつ頻度の高い疾患は、メニエール病です。

 耳は外側から外耳、中耳、内耳の三つの部分に分かれ、一番奥まったところの内耳はら、三半規管、前庭、蝸牛という三つの器官から成り立っています。これが、何らかの原因によって、水ぶくれの状態(内リンパ水腫)になると、初めに耳閉感(耳が詰まった感じ) を伴った片側性の耳鳴りが起こり、それから難聴が現れ、ついには吐き気と共に、グルグルめまいの発作に襲われます。

ストレスが原因で発症するメニエール病

 内リンパ水腫がなぜ起こるかは、いまだ不明ですが、ストレスにより、脳下垂体から抗利尿ホルモンが分泌されることで尿量が減少し、体内に水分を溜め込むからではないかというのが有力な説です。であれば、発作を予防し、あるいはその頻度を少なくするためには、ストレス・コントロールが欠かせません(1月号の「ストレス知らずで過ごすワザ」を参照)。要はリラックスを心掛けることです。

 次に、良性発作性頭位めまい症です。急に身体を動かした時に、グルグルめまいが起こるのが特徴です。

いわゆる立ちくらみの「クラクラ型」

 内耳の前庭にある耳石(平衡感覚を保つ上で、最も重要な器官)の一部が、何らかの原因で剥がれ落ち、三半規管に入ってしまうことがあります。その時に頭の位置を変化させると、三半規管を流れるリンパ液の流れ(身体の位置情報を把握する)を耳石が乱し、めまいを引き起こすのです。

 この疾患は生活習慣病とは言えませんが、再発を予防するのは簡単です。三半規管から耳石を追い出せばよいわけで、そのための特殊な体操(理学療法)があります。

 最後に起立性低血圧です。急に立ち上がった時、あるいは長時間立っている時、クラクラめまいが出るものです。

 人間は立った姿勢になると、重力があるため、血液が身体の下に下がり、脳内の血圧は瞬間的に、低下します。通常は自律神経の反射によって、再び正常値まで上昇しますが、お年寄りや若い女性の場合、その反射が不十分で、一定時間、血圧が低下することがあります。これが起立性低血圧という状態で、低血圧が原因のめまいを引き起こします。特に、過労気味だったり、寝不足の時に起きやすいと言われます。

 予防法はそう難しくありません。「急に立ち上がったり、長時間立ち続けたりしない」「高い枕を使って、頭を高くして眠る」「過労や寝不足を避ける」「(女性の場合)弾性ストッキングなどで下肢を圧迫し、血液の心臓への環流を促す」「適度な運動をして、下肢の筋肉を鍛える」、などです。

 めまいは、コントロールできる病気です。めまいを感じた時はあわてず、まずは診察や検査を受けること。そしてその結果、重大ではないめまいだと分かったら、左にある「めまいを防ぐ自己管理策」に基づき、生活改善に努めること。これに尽きます。

めまいのタイプと原因疾患

グルグル型
●耳鳴り・難聴がある場合
・メニエール病
・突発性難聴
・聴神経腫瘍
●耳鳴り・難聴がない場合
・良性発作性頭位めまい症
・前庭神経炎
●頭痛・意識障害がある場合
・脳卒中(脳出血・脳梗塞)

フワフワ型
・眼科疾患(視力障害)
・首や肩の凝り(筋緊張)
・心因性めまい(うつ病)
・脳腫瘍・脳動脈硬化症

クラクラ型
・起立性低血圧
・椎骨脳底動脈循環不全
・不整脈

めまいを防ぐ自己管理策

●過労を避け、規則正しい生活を心掛ける
●睡眠を十分取る
●リラックス法を身に付け、ストレスの発散に努める
●生活をエンジョイする(趣味、適量飲酒、ぬるめのお風呂など)
●適度な運動を定期的に行う
●塩分・水分の摂り過ぎに注意する(メニエール病の予防)
●脂肪を摂り過ぎない(動脈硬化が椎骨脳底動脈循環不全の原因となる)
●タバコを吸わない(ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くする)
●気象情報(低気圧、寒冷前線)に注意を払う

(文春新書:神崎仁著『めまいの正体』より、著者一部改変)

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