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「仮面高血圧」は恐ろしい!
“隠れ高血圧”発見は早朝測定から

「病院で測った血圧は正常値だった」と安心していませんか?
最近、日中は正常なのに、夜間や早朝に血圧が高くなる「仮面高血圧」が注目されています。血圧は自己管理の時代です。

文/中野優、イラスト/松本孝志
2005年7月14日

朝、起きたら、血圧を測る習慣を

 循環器系の医師の間で最近、「仮面高血圧」が話題になっています。

 一般に高血圧とは、最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上(140/90)を言い、リラックスできる家庭内での測定の場合は、最高血圧135mmHg以上か最低血圧85mmHg以上(135/85)が目安です。病院の診察室で測ると、緊張して血圧が高めになるためで、こうした心理的な影響による高血圧を「白衣高血圧」と呼んだりします。

 ところが近年になって、診察時は正常血圧ですが、日常生活では高血圧を示す症例が多く発見されています。これが「仮面高血圧」です。

 高血圧の人が心血管疾患を発症する比率は、血圧が正常範囲にある人達の2倍に上ると言われます。本当は高血圧なのに、医師に診てもらう時のみ血圧が下がって、一見正常に見える――これを放置しておくと、心筋梗塞や脳卒中など、心血管疾患が発症する危険性を高めることになります。つまり、仮面高血圧は、白衣高血圧の方や高血圧の治療に成功している人達より、厄介なわけです。

「病院血圧」は当てにならない
重要なのは「家庭血圧」

 特に仮面高血圧が疑われるのは、仕事が忙しく、強いストレスを感じている人やヘビースモーカー。と言うのも、診察を待っている間は、仕事やストレスから解放され、リラックスした状態にあることが多く、また医療施設の多くでは、タバコを吸えないため、ヘビースモーカーでも血圧が普段より下がっていると考えられるからです。

 このほか、高血圧を治療中という人も注意が必要です。病院を訪れる際は服薬済みであることが多く、その場合、血圧はコントロール良好(正常範囲)と判断されがちだからです。

 仮面高血圧は、家庭で血圧測定をしない限り、発見できません。正確な血圧測定が重要です。

 血圧計は、上腕式血圧計を用意しましょう。指先や手首で測るものもありますが、測定値にバラつきがあり、信頼性に欠けます。病院で使われている水銀血圧計か、測定結果に優れ、国際的な評価も高い「オムロンデジタル自動血圧計」などがお薦めです。

 測る時間は、最も安定した値が得られる早朝がベスト。その際は、①起床後に排尿しておく(排便は血圧を上げるので後回し)、②椅子に座って1~2 分深呼吸する(3秒吸って、5秒かけて吐く)、③測定前は朝食だけでなく、カフェイン入り飲料(コーヒー、紅茶、緑茶)を摂ったり、タバコを吸ったりしない、④測定は2回行い、2回目の数値を使う、という四つの条件を必ず守ってください。

 早朝に血圧を測ることは、仮面高血圧の中で最も多い「早朝高血圧」かどうかをチェックする上でも有効です。

 早朝の血圧が高くなる早朝高血圧は、心筋梗塞や脳卒中などを発症する危険性が特に高いことで知られています。昔から、心筋梗塞や脳卒中は午前中、それも10時頃が発生のピークと言われていますが、その背景には早朝高血圧が存在しているようなのです。

「早朝高血圧」が心筋梗塞や脳卒中の引金に

 早朝高血圧は、血圧が夜間に一旦下がるものの、早朝に急上昇する「早朝急上昇型」と、血圧が夜間も高いまま(夜間非下降型)か、徐々に上がっていく(夜間上昇型)という「夜間高血圧タイプ」の2タイプがあります。「早朝急上昇型」は、動脈硬化病巣の破綻を引き起こして血栓を誘発し、心血管疾患を招きます。一方の「夜間高血圧タイプ」は、動脈硬化そのものの進展を促します。

 そもそも、なぜ血圧は早朝に急上昇したり、夜間も高いままだったりするのでしょうか?

 まず早朝の昇圧には、自律神経の切り替えが関係しています。誰でも夜間はリラックス神経である副交感神経が優位となり、血圧は下降傾向になりますが、起床後は、活動神経である交感神経の働きが活発となり、血圧が上昇します。元々、ベースラインの血圧が高い高血圧の人に、この昇圧メカニズムが働くと、簡単に診断基準の135/85を超えてしまうのです。

 一方、夜間の持続性の高血圧については、動脈硬化が疑われます。通常であれば、夜になり交感神経から副交感神経へ切り換われば、血管が拡張しますが、動脈硬化が進行していると、自律神経のモード変更程度では、血管が十分に広がらないためです。

 自己測定の結果、早朝の血圧が135/85以上であった場合、仮面(早朝)高血圧である可能性があります。躊躇せず、すぐに病院で受診しましょう。

 と同時に、日頃から家庭で血圧を測る習慣をつけ、自分の血圧の状態を把握しておくことも大切です。血圧は自己管理の時代に入ったのです。

仮面高血圧のタイプ

1 夜間下降型(dipper型)
早朝から上昇し、日中が高く、夕方から下降し、睡眠中に低くなる。最も多いタイプ

2 夜間非下降型(non-dipper型)
昼夜を問わず血圧の変化の幅が少なく、夜間になってもそれほど下がらないタイプ

3 夜間上昇型(riser型)
夜間になっても血圧が下がらず、かえって上昇していくタイプ

4 早朝急上昇型(morning surge型)
夜間に一旦下がってから、早朝になると、血圧が急上昇するタイプ

2~4が「早朝高血圧」の原因となり、心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞)へつながる

仮面高血圧にならないための9カ条

1 塩分は思い切って少なめに(1日6g未満)
2 イモ類やニラなどのカリウムが豊富な野菜や果物を毎日摂る
3 肥満(特に太鼓腹)の人は減量を
4 アルコールは適量に(日本酒換算2合まで)
5 タバコは吸わない
6 積極的な気分転換でストレスの発散を
7 1日30分は歩く
8 ぬるめ(39~40℃前後)のお風呂にゆっくりとつかる
9 脱衣室や浴室を暖めておくなど、寒暖の差に上手な対応を

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