倒産・リストラによる自殺を防げ!

 今日本で自殺する人の数は年間3万人にのぼる。1日あたり90人近くが自殺、未遂者も含めれば1日1000人を数えるという。1998年以来、年間3万人の自殺者をコンスタントに生み出している。

 しかも、日本に特徴的なのは、経済状況の悪化がストレートに自殺率の上昇に結びついており、社会の担い手である中高年男性や自営業者の自殺が特に多いことだ。昨年来の不況は、自殺率の上昇リスクをさらに高めている。

そんな状況の中、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」は、「自殺対策基本法」を2006年に成立させる中心的な役割を担い、昨年には「自殺実態白書2008」を発表、自殺の現状を全国に啓蒙するとともに、各自治体の自殺対策が自律的に立ち上がる後方支援を手掛けている。

 その代表である清水康之氏に「自殺大国・日本」に歯止めをかける有効な対策を聞いた。


聞き手・文/吉田直人 
2009年2月26日

―― 経済状況と自殺率はどの程度リンクしているのでしょうか。

清水: 自殺が大きく増加したのは97年~98年です。97年といえば、山一證券や北海道拓殖銀行が破たんした年で、この後日本経済は長い低迷期に入り、中小・零細企業も追い詰められていきます。その中でも特に97年度の決算期にあたる98年3月に自殺が急増しています。失業率も倒産件数も急増する中でそれとシンクロするように自殺が増えている。この現象ひとつをとってみても、自殺は個人的な問題というより、社会的な問題であるといえます。この時期は被雇用者も自営業者も同様に自殺が増加しています。リストラされた中高年男性や事業不振に陥った会社の経営者が犠牲となったのです。

自殺者数/年 自殺者数/年 警察庁「自殺の概要資料」より

自殺者数/月 自殺者数/月 厚労省「人口動態統計」より

―― 98年の急増以来、過去10年間、毎年3万人以上が自殺で命を失っていますね。

清水: 経済的な疲弊がそのまま自殺の急増に直結するというのは、国際的に見てもまれな状況です。他の国では失業率が高くなっても自殺率が減っているケースもあります。

 また、自殺率の数値そのものも高い。G8諸国ではロシアに次いで2位を占めています。米国の2倍、英国・イタリアの3倍という高さです。

清水康之氏 清水康之氏

―― なぜ日本だけが突出するのでしょうか。

清水: 自営業者でいえば、日本独特の制度である経営者の個人保証や、連帯保証人の問題が大きな要因と思われます。生命保険が自殺でもおりるという問題も絡んでいます。

 被雇用者で言えば、中高年が大量にリストラされるというのはこれまで日本の社会が想定していなかった状況です。いざ、これまでに経験しなかった問題が発生したり、多分野にわたる問題が発生したとき、それに対応する能力を日本社会が持ちえていないということの表れが98年3月の中高年男性の自殺率急増ではないかと考えています。それまでの中高年男性は社会的な中核で強い立場だったのが、その人たちがいざ社会的弱者に転落したときのフォロー態勢が全くなかったわけです。その態勢を立て直すことができずに10年間もずるずると来てしまっているのが現状です。

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