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甘利: さて、年も改まり、いろいろなところで今年の展望を語る記事をよく目にします。それにちなんで今年の「犯罪展望」をしてみたいと思います。
犯罪の面からみると、実は今年は「安閑としていられない」のです。
―― なにか根拠となるものがあるのでしょうか。
甘利: 総務省の発表する完全失業率と警察庁の発表する刑法犯の認知件数です。この二つには強い相関が認められるのです。不況で失業率が上がっている年は犯罪が増えるということです。
まずは、1964年以降の推移を追った二つのグラフを見比べてみてください。よく似た推移を示しています。関連の強さを示す相関係数を計算すると、実に0.94という高さです。統計学上、この数値が0.6を超えると相関関係があると考えられていますから、完全失業率と刑法犯の認知件数との間には強い相関があると言っていいと思います。
具体的に見ていきましょう。完全失業率はグラフから分かるように、2002年をピークに下がり続けています。しかし、昨今の経済情勢から判断すると、昨年10月の数値3.8%で底を打つことになるとみられます。そうなると、刑法犯の認知件数もそれと同時に今後増えていく恐れがあるといえるでしょう。
実際、食べるのに窮した結果、留置場に入る目的で罪を犯す人が出てきています。三重県伊勢市では昨年12月、無職の男がわざわざ逮捕されようとして、公用車にキズを付ける、という事件が起きました。
―― 不況にともなって泥棒も増えていくのではないか、という見方ですね。プロの泥棒に加えて、いわば素人の泥棒も出てくる、と。
甘利: 逮捕されても構わないと半ば開き直っているような素人の泥棒には、プロの泥棒とは異なった怖さもあります。
しかしながら、食べることに困ってあえて捕まろうとするような人を除けば、素人の泥棒にもつかまりたくないという気持ちがあるのは間違いありません。
素人ならではの強引さや手口の違いはあったにしても、侵入を試みようとする犯罪者に対する基本原則はさきほど申し述べた通り、「自然監視性の確保」「領域性の確保」「接近の制御」「対象物の強化」の4つです。
冒頭で申し上げたように、泥棒の稼ぎという観点から言えば、どの家が狙われても不思議ではありません。昨年後半以来の不況感がいっそう高まっていくとみられる2009年は、各家庭で防犯対策を改めて見直すようにしてほしいと思います。
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甘利 康文(あまり・やすふみ)氏
セコムIS研究所 セキュリティコンサルティンググループ
グループリーダー
■学歴
慶応義塾大学工学部計測工学科1984年卒業
同大学大学院修士課程1986年修了
■職歴
1987年:セコムIS研究所入社
90~91年:米国マサチューセッツ工科大学メディア研究所客員研究員
2003年~:セコムIS研究所セキュリティコンサルティンググループ創設と同時にグループリーダー就任
2004年~:鎌倉女子大学家政学部非常勤講師(生活環境学講座)
■官庁・団体での活動
厚生労働省科学研究「食品企業における健康危機管理に関する研究」委員
(社)計測自動制御学会ネットワークセンシングシステム部会 幹事
(社)電気学会生産システムにおけるセーフティ・セキュリティ調査専門委員会委員
日本光学会産学官連携委員会WG3(安全・環境分野)委員
■著書
『こんなときどうするの?―図書館での危機安全管理マニュアル作成の手引き』
(共著・日本図書館協会)
『朝日新聞ホームページ アスパラクラブ「住まい安心術」』
『セコムが教える 防犯プロのアドバイス』(日経BP社)
■その他
企業、団体等でセキュリティに関する研修・講演、営業マンに対する営業研修を多数実施、ほかビジネスマンのキャリア形成研修を一部担当。防犯設備士、シニアリスクコンサルタント
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