新型インフル対策、地方の現状・世界の状況

 「新型インフルエンザについて最新の情報が欲しければ、小樽の外岡さんのホームページを見ろ」――新型インフルエンザ関係者の間でもそう言われている。北海道小樽市で、小樽市保健所の所長を務める外岡立人氏は、個人の立場で鳥及び新型インフルエンザ直近情報というホームページを開設し、国内外の鳥インフルエンザおよび新型インフルエンザに関する情報を収集、要約して掲載し続けている。

 3年半もの間、継続して情報を収集・分析しつつ、同時に地域における公衆衛生の責任者として新型インフルエンザ対策に携わってきた経験から、外岡氏は国と地方自治体との間で新型インフルエンザ対策に関するコミュニケーションがあまりに少ないと指摘する。

 同時に氏は、具体的な対策として「感染中断免疫」という手法を推奨する。新型インフルエンザに感染し、発熱したらすぐに抗ウイルス剤の服用を始め、症状を軽く抑えると同時に免疫も獲得するという方法だ。

聞き手・文/松浦 晋也
2008年8月8日

――まず、どういった経緯で新型インフルエンザに関するまとめをネットで公開するようになったのでしょうか。

外岡 立人氏

外岡 立人氏

外岡:最初は2002年から2003年の新型肺炎(SARS)が流行した時でした。自分用にSARSに関する情報をまとめていたのですが、そのうちに自宅でも仕事場でも同じデータをいつでも使えるようにしたくなり、「それならプロバイダーのサーバースペースも空いているし、いっそ公開するか」と、インターネットでの公開を始めたのです。

 非常に軽い気持ちで始めたのですが、これは専門家の間ではそれなりに好評でした。

 SARSは2003年の後半には終息し、ホームページも閉鎖したのですが、2004年に入ると今度は鳥インフルエンザが話題になり始めました。

――2004年には京都府などでH5N1型の鳥インフルエンザが発生していますね。

外岡:そうです。そこで今度は鳥インフルエンザをテーマにホームページの更新を始めたわけです。ところが今度はなかなか終息せず、それどころか2006年になると、ネットで流通する情報が爆発的に増えました。わたし一人ではなかなか情報が追い切れないほどになり、疲れてしまって、ホームページを閉じようかと思ったこともあったのですが、協力者が現れたこともあって、今も続けています。

――保健所所長という職にあって、毎日あれほどの情報をまとめ、ホームページを更新するのは、大変な労力がいると思います。よく続いていますね。

外岡:更新を続けているうちに生活のリズムの中にホームページが組み込まれた状態になってしまいましたからね。それと、協力してくれる人がいたとしても、情報の取捨選択は、専門知識を持ち、なおかつ継続してウォッチしてきた自分がやらないといけないな、と感じたということもあります。気が付くと更新開始から3年半になりました。その間、およそ1万件の情報を翻訳や要約し、掲載しました。

――どのような反響があるのでしょうか。

外岡:鳥インフルエンザの人への感染が起きている国に滞在している在外邦人の皆さんがよく利用しています。「日本語の情報があるのは助かる」と言われることは多いです。また、国内の主婦層もよく見ているようです。「情報がまとまっていて助かります」という内容のメールをいただくことがあります。

――内容はかなり専門的で、一般には分かりにくい部分もあるように思うのですが。

外岡:勉強されている方は、きちんと内容を把握しているようですよ。また、内容まで踏み込まなくとも、毎日見に来て、更新される情報の量から「そろそろパンデミックがあぶないのかな」とか「まだまだ大丈夫そうだ」というような、雰囲気を感じ取っている方がおられるようです。特に主婦の間には、一部にパンデミック情報に関して非常に敏感な層がありまして、熱心に勉強しています。

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