H5N1型という“敵”に日本が採るべき策

プレパンデミックワクチンの計画的な生産を!

岡田:わたし個人としては、日本は計画的に2億人分ぐらいのプレパンデミックワクチンを生産し、保有しておくべきと考えています。鳥インフルエンザは、インドネシア、ベトナム、中国などアジアの広範囲に広がっています。それらすべての国でワクチンを製造・備蓄できるわけではありません。自国民の分を超えてプレパンデミックワクチンを製造し、諸外国へ提供することは、先進国である日本にとって責務であると考えます。

 それは単に他国を利するというものではありません。パンデミックは世界規模の感染拡大です。他の国で被害が軽減できれば、その分日本への感染拡大を食い止めたり、時間を稼ぐことができるかもしれないのです。「情けは人の為ならず」、自分のためでもあるのです。

――今年4月15日、桝添要一厚生労働大臣は、プレパンデミックワクチンを6000人に先行接種する臨床研究を行い、有効性が確認できれば1000万人規模の事前接種を行う方針を打ち出しました。世界的に見ても、これだけの規模の事前接種を打ち出した国はまだありません。日本政府も遅ればせながら、対策を本格化させてきました。

岡田:もちろん、これは大きな前進です。しかし、同時に「プレパンデミックワクチンの製造には有精卵の手配から始めなくてはならない」ということを忘れてはいけません。

 通常のワクチンの承認手続きでは、有効性試験に続いてワクチンの製造手配となります。試験と、製造が直列になっているわけです。しかし、プレパンデミックワクチンの場合、いつパンデミックが発生するか分からないのですから、一刻でも早く大々的なワクチン製造にかからねばなりません。そのためには、大規模臨床試験と並行して、有精卵の手配を行っておき、その効果が確認できたら即ワクチンの製造にかかる必要があります。

 「まず試験、それから製造に向けて動き出す」という、通常の仕事の手順ではダメなのです。先を読んで有精卵のような必要な物資を先行手配するようにしていかないと。必要な時に必要なだけのワクチンが手元にないという事態を招きかねません。

 もちろんプレパンデミックワクチン以外の対抗策についても、行政手続きを急ぐ必要があります。抗ウイルス剤もタミフルだけでは、耐性を持ったウイルスが出現する可能性があります。新薬承認の速度を上げる必要があるのです。

――それは、例えば薬害を引き起こす危険性もはらんでいるのではないでしょうか。

岡田:ですから、ここでもリスクと利益とを冷静にはかりにかける必要性があります。新型インフルエンザ対策は、極端に言えば「いかにしてリスクを見極めていくか」の連続なのです。

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。