H5N1型という“敵”に日本が採るべき策

プレパンデミックワクチンは強毒型の被害を弱毒型まで軽減する

――プレパンデミックワクチンを接種すれば、パンデミックが発生した時に、新型インフルエンザに罹患しないでもすむと考えてよいのでしょうか。

岡田:そうではありません。接種を受けても新型インフルエンザにかかる可能性は残ります。

――それではプレパンデミックワクチンの意義はどこにあるのでしょうか。

岡田:全身感染を起こす新型インフルエンザに罹患しても、全身感染から逃れることができると期待されています。致死率がぐっと下がるわけです。

 プレパンデミックワクチンの意義は三つあります。まず、最初に述べたようにパンデミックそのものを抑止する可能性があるということです。次に、強毒型の新型インフルエンザの症状を、弱毒型並みに緩和する効果があるということです。最後が、プライミングです。

――プライミングとはどんなことですか。

岡田:プレパンデミックワクチンに限らず、インフルエンザのワクチンは接種しても免疫が発現するまでに3~4週間かかります。発現した免疫は時間と共に徐々に弱くなっていきますが、事前に接種を受けておくと、次に接種を受けると急速に免疫が発現するという現象があります。ですから、事前にプレパンデミックワクチンの接種を受けておくと、いざパンデミックという時にもう一度接種を受けると、すぐに免疫を獲得することができます。この事前接種のことをプライミング(植え付け)といいます。

 プライミングの効果は相当長期間持続します。ですから、わたしは社会インフラを維持する仕事に就いている人、少なくとも直接患者と向き合って治療に当たる医療関係者には、プレパンデミックワクチンのプライミングを行うべきと考えています。パンデミックが起きてからワクチンを接種すると、免疫が発現する前に、ウイルスがやってきてしまう可能性があるわけですから。

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