H5N1型という“敵”に日本が採るべき策

プレパンデミックワクチンの実態

岡田:プレパンデミックワクチンについてもう少し詳しく説明しましょう。現在日本で備蓄しているプレパンデミックワクチンは、国立感染症研究所とメーカーが協力して開発したものです。2004年から開発を開始し、2006年には臨床試験に入ることができました。2007年前半には製造承認を受けて量産に入っています。

 これまでに450人への接種試験を行っていますが、今のところ重篤な副反応、副作用は認められていません。

 ワクチンの種類としては「不活化全粒子ワクチン」というものです。不活化というのはホルマリン処理によってウイルスを不活性化してある、つまり体内に入っても増殖しないようにしてあるという意味です。全粒子というのは不活化したウイルスが丸ごと含まれているということです。ワクチンの種類によってはエーテルによってウイルスの表面にある脂質の膜を除去し、副作用が出る割合を軽減するということも行うのですが、このプレパンデミックワクチンでは、エーテル処理を施してはいません。

 ワクチンは、特定の物質と混合して接種すると、免疫をより強く発現させる性質があります。このような物質を免疫増強剤(アジュバント)といいます。わたしたちのプレパンデミックワクチンは、三種混合ワクチンなどで一般的に使われている、アルミニウムを含むアジュバントを混合して接種します。

 アジュバントの添加により、より少ない量のワクチンで十分な免疫を発現させることができるようになります。また同時に、さまざまな亜種に分化しているH5N1型ウイルスの、幅広い亜種に対して免疫を発現させることが可能になります。

 政府は今年度中に3000万人分のプレパンデミックワクチンを備蓄する方針を示しています。実は製造年度ごとに、製造に使用するH5N1型ウイルスの亜種を変更しています。ウイルスの亜種を専門用語で「クレード」と呼びます。

 2006年度に製造した分は、ベトナムで発見された「クレード1」とインドネシアで検出された「クレード2-1」を使っています。2007年度のものは、中国・青海湖で検出された「クレード2-3」で作っています。

 世界保険機構(WHO)では、このほかにも数種類のウイルス株をワクチン製造に適していると指定しています。今後、トルコなどで検出されている「クレード2-2」によるプレパンデミックワクチンを積み増すことが必要でしょう。

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