H5N1型という“敵”に日本が採るべき策

鳥インフルエンザウイルスから作るプレパンデミックワクチン

岡田:過去の例からすると、新型インフルエンザのパンデミックは、2波から3波の波状攻撃をかけてきます。1回の期間は約2カ月で、うちピークが10日から2週間程度続きます。

――だから、対策マニュアルには家庭での籠城に備えて、食料など生活必需品を備蓄せよと書いてあるわけですね。

岡田:では、なぜパンデミックが終息するかご存知ですか。

――ウイルスが突然変異で弱くなるからでしょうか。

岡田:そうではなく、社会の構成人員の一定数が罹患(りかん)することで免疫を獲得するからです。数値シミュレーションでは、構成人員の6割から7割程度が免疫を獲得すると、パンデミックが終息することが示されています。ウイルスはどんどん別の個体に感染することで広がっていきますが、感染しようとした先が既に免疫を持っていたとすると感染は成立しません。そこで感染拡大が止まるわけです。免疫を持つ人が増えると、感染拡大が止まる確率が上昇し、パンデミックが終息するわけです。

 逆に、事前に6割から7割が免疫を獲得している場合にはパンデミックは起きないことを示した研究もあります。

――あっ、つまりプレパンデミックワクチンの意義は、そこにあると。

岡田:そうです。わたしは、プレパンデミックワクチンの全国民分備蓄を主張しています。

 新型インフルエンザに対するワクチンは2種類あります。パンデミックワクチンとプレパンデミックワクチンです。パンデミックワクチンは、新型インフルエンザが発生した後に、新型のウイルスを使って製造するワクチンです。

 一方、プレパンデミックワクチンは、現在の鳥インフルエンザウイルスを使ったワクチンです。いまだ出現していない新型インフルエンザに対して効くかどうか未知の部分がどうしても残りますが、それでも最近の研究で、さまざまな亜種が存在するH5N1型全体に効く可能性が出てきています。

 うまくプレパンデミックワクチンを使えば、パンデミックそのものを事前に抑え込める可能性があるのです。

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