H5N1型という“敵”に日本が採るべき策

一歩ずつ備蓄を進めよう

――各家庭へ籠城し、出歩かないことでかなり感染を避けられるということですが、そのためには生活必需品、食料、水などの備蓄が必要になります。ご著書では2カ月の備蓄を推奨していますが、「2カ月分の備蓄なんて簡単にはできない」という声が上がってきています。

岡田:一気に備蓄をしようと思わず、できる範囲から少しずつやっていくのがいいでしょう。いきなり2カ月分をそろえようとしても無理があります。

 例えばいつもはお米を10kg単位で買っているのを20kg単位にする。それも10kgの袋を二つ買って、一つ使ったら10kg買い足すようにすれば、それだけで常時10kgの備蓄があることになります。日々の買い物のたびに一定の予算を備蓄する品を買うのに使うと決めておくやり方もあります。

 先ほど言いましたが、パンデミックは、2波から3波の波状攻撃をかけてきます。1回の期間は約2カ月で、感染拡大のピークは10日から2週間程度です。ですから必要最低限の備蓄は2週間分となります。まず、2週間、一歩も外に出ずに生活できる体制を整えてみてください。それが達成できたなら、次の目標は2カ月となります。2カ月分の準備が終わったならば、その次はパンデミックの全期間である6カ月が目標となります。

――6カ月というのは、かなり難しいのではないでしょうか。

岡田:しかし、過去、気象の変化ですぐに不作になった時代には、世界的に見ても家庭に6カ月の備蓄を持つライフスタイルが普通でした。ドイツでは今でも、家を建てる場合にまず食料を備蓄するための地下室を作ります。かつて、ペストの流行を経験したからでしょう。

 そんな時代よりも保存食品をはじめとした技術は大きく進歩していますから、日本の普通の家庭であっても、それなりの備蓄は不可能ではないと思います。

集合住宅は安全か

――もう一つ、重要な事をお聞きしなくてはなりません。都市部を中心にアパートやマンションのような集合住宅に住む人が多数います。集合住宅の場合、籠城したとしても、他の部屋で感染者が出た場合、感染が拡大する恐れはないのでしょうか。

岡田:これは難しい問題です。2002年から2003年にかけて新型肺炎(SARS)の感染が拡大した時、香港・九龍にある「淘大花園(アモイ・ガーデン)」というマンションで、一室で発症者が出た後、感染が広がるという事例がありました。アモイ・ガーデンは古い設計で、通気口に電気配線と下水管を通していました。SARSの患者はウイルスを含んだ下痢をします。アモイ・ガーデンのケースでは、下水管経由でウイルスが広がったと推定されています。

 新型インフルエンザでも、気になるのは下水です。新型インフルエンザも腸管感染を起こします。患者の下痢や吐瀉(としゃ)物には大量のウイルスが含まれることになるでしょう。それらは下水管経由で流されるわけですが、ウイルスが果たして各戸のトラップでどの程度まで阻止されるのか、わたしは確たるデータを持っていません。

 建築の専門家ともデータを交換し合い、早急に基準を出すことが必要だと思います。

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