H5N1型という“敵”に日本が採るべき策

フェーズ3とフェーズ4の境目が対策発動のタイミング

――企業や家庭の取り組みはどのようにしていけばいいのでしょうか。

岡田:最初は海外駐在の日本人をどうやって保護するかでしょう。現状では、日本から新型インフルエンザが発生する可能性は低いです。感染確認例が相次いでいるインドネシアか、中国か、エジプトか‥‥どこか外国で発生する可能性が高いです。

 ですから、海外駐在員を派遣している企業は、どのようにして駐在員およびその家族を日本に引き揚げるかの計画を持っていなくてはなりません。パンデミックが起きると、交通が遮断される可能性もありますから、「もう少し仕事を片づけてから」と考えていると、帰国できなくなることもあり得ます。

 もちろん、帰国できなかった場合の行動計画も用意しなくてはなりません。

――思い切りが重要だということですか。

岡田:WHOは、新型インフルエンザによるパンデミック発生までの流れを、フェーズ1からフェーズ6までに分類しています。現状はフェーズ3の「ヒトからヒトへの感染はないか、または極めて限定されている」という状況です。

 次のフェーズ4は「ヒト-ヒト感染が増加していることの証拠がある」というものです。フェーズ5は「かなりの数のヒト-ヒト感染があることの証拠がある」、フェーズ6が「効率よく持続したヒト-ヒト感染が確立」つまりパンデミックです。

 つまり、フェーズ3とフェーズ4との間に一つの壁があります。一端フェーズ4に入ってヒトからヒトヘの感染を起こすようになると、ほとんどの人は免疫を持っていませんから一気に感染は拡大します。ですからフェーズ4からフェーズ6へは、急速に進行すると思っておいたほうがいいでしょう。

 企業の中には、WHOが、フェーズ4を宣言するかどうかが事態の潮目であると考えて、現状のフェーズ3とフェーズ4以上の2段階で、事前の対策を立てているところもあります。

――「フェーズ4になったら、5になったら」というのではなく、ざっくりフェーズ4以上になったら、というところで対策を立てておけということですね。

岡田:これは国内においても同じです。いったん日本にウイルスが侵入したら1週間程度で全国に広がると予想されています。ウイルスが来たならば、一気に緊急体制に移行できるように準備を整えておく必要があります。

 最初に言ったように、通勤電車は感染拡大の温床となる恐れがあります。各企業は、可能な限り在宅勤務に切り替えて、社員の出社を抑制しなくてはなりません。ワークフローを分析し、どのようにして在宅勤務で仕事を回していくか ―― これは事前準備の中でも非常に重要な部分です。

 電気、ガス、水道、通信、さらにはガソリンや灯油の供給といった社会活動の根幹となるインフラに関しては、特に事前の準備が重要となります。一般市民は、各家庭に籠城するといっても、これらのインフラが正常に稼働してくれなくては、籠城すら困難です。

 なかでも水道による水の供給の継続と、水源をウイルスによる汚染から守るための準備は最重要課題です。水道を担当している地方自治体の責任は重大であると言わねばなりません。水がなければ、人は一日として暮らしていくことはできないのですから。

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