新型インフルエンザの“リアル”を語ろう

安全保障の一環として対策を進める米国

――米国はどこまで準備を進めているのでしょうか。

田代:米国は、はっきりと強毒型のH5N1ウイルスによるパンデミックを安全保障の問題だと認識しています。テロや核戦争と同じ、国家の危機という位置づけで、どうやって国民を守り国力を維持するかの対策に予算を注ぎ込んでいます。

 CDCは、日本では保健所の大きいものというイメージで見られているでしょうが、実態は軍とともに、衛生保健面で米国という国の安全保障を司る組織です。日本の保健所とは全く組織の性格が異なる、疾病に対して攻撃的な姿勢を持つ軍隊に似た組織なのです。

――スペインインフルエンザでは軍隊が流行の発信地となりましたが、米国は国防総省も含めてパンデミック対策を組んでいるということでしょうか。

田代:米国防総省がなにをやっているかは外からは分かりません。しかし、当然のことながら相当の予算を注ぎ込んで対策を行っているはずです。現在米国は毎年約9000億円をパンデミック対策に注ぎ込んでいますが、表に出てこない国防費からの支出を考えるとこれだけでは済まないでしょう。表から見えるのがすべてだと思ってはいけません。

 在日米軍を含む在外派遣軍を、パンデミック時にどのようにして米本土に撤収するかという行動計画も、当然のことながら策定済みのはずです。

 米国は、国民に対して、新型インフルエンザに関する知識の周知徹底や籠城のための家庭備蓄の呼びかけを行う一方、事前に用意できるプレパンデミックワクチンの備蓄、全国民分のワクチンを半年で製造し、定めた優先順位で順次接種していく体制の整備を着実に進めています。

 もちろん医療分野のみならず、例えば学校を休校にした場合、子どもにどうやって教育を届けるかというような生活面での対策も行っています。ありとあらゆる手段を使って社会機能を維持することを目指しています。

 それだけではなく、パンデミックが起きてしまった後に、どのようなプランで社会や経済を回復させていくかという行動計画の策定すら行っています。「何があっても米国は生き残る」というのが彼らの意志です。それに従って着々と手を打っているのです。

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