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封じ込め、健康被害の最小化、社会機能の維持 ―― が対策の三つの柱
――米国が想定している致死率の20%は、これよりも下がる見込みはないのでしょうか。
田代:現在までのところ、鳥インフルエンザは致死率63%ほどですが、これらの患者はそれぞれの国で最高水準の医療を受けているということを忘れてはなりません。肺炎になれば人工呼吸器を付けますし、タミフルの大量投与も受けています。それでもなおかつ、この致死率なのです。
パンデミックが起きると、まず人工呼吸器が足りなくなります。患者は重い肺炎を発症しますから、人工呼吸器なしては呼吸困難に陥ります。
現状ではタミフルも不足するでしょう。日本はタミフルを2800万人分備蓄しているとしていますが、現在鳥インフルエンザ患者には、通常のインフルエンザの2倍の量を2倍の期間投与しています。つまり日本の備蓄量は実質700万人分でしかないのです。これでは全く足りません。過去の経験によれば、パンデミックでは第一波、第二波というように爆発的感染拡大が波状攻撃をかけてきます。現在の備蓄量では第一波をしのいだとしても、第二波以降はタミフルが尽きてしまいます。
しかもパンデミックは、全世界同時に起こりますからその時になっても海外からタミフルを緊急輸入することはできないでしょう。タミフルを持っている国から「お気の毒ですが日本は日本で対応してください」と言われて終わりです。
このように考えていくと、たとえ今後、ウイルスの突然変異で致死率が下がっていったとしても、パンデミック時の死亡率は高くなると言わざるを得ません。
日本には危機に直面しているという意識がありません。パンデミック時に医療サービスをどうやって維持するのか。患者が病院に殺到すると、医療体制が崩壊します。崩壊を防ぐためには、感染の拡大を防いで、感染者が一気に集中する“流行の山”を低くすることが必要ですが、そのために具体的にどうすればいいのかは、まだ話し合われていません。
そのほか、生活必需品の輸送やライフラインをどうやって維持するか。感染を避けるためには家庭への籠城が推奨されますが、では籠城を可能にするにはどのような環境を整備するのか。世界経済が一蓮托生になっている今、ビジネスをどうやって継続していくのかも大切な課題です。要するに準備が全然足りていないのです。
――パンデミックに対する備えはどのような方針で行うべきものなのでしょうか。
田代:パンデミック対策には、大きな柱が三つあります。まず封じ込めによって新型ウイルスの出現を回避することです。しかし現在、既に鳥の世界ではパンデミック状態になってしまい、封じ込めに失敗してしまいました。ヒト型ウイルスが出現した場合の封じ込めも、よほど運が良ければ可能、という程度しか期待できないと考えています。
次の柱が健康被害を最小にとどめることです。限られたリソースの中でどうやって最大の効果を得て、感染者や死者を最小限にとどめるかです。この段階では、誰にワクチンを接種するか、誰にタミフルを投与するかという、厳しい選択を迫られます。事前に議論を尽くして誰もが納得する行動計画を策定しないと、社会的なパニックが起きる恐れがあります。
最後が社会機能の維持です。先ほども言ったようにパンデミックは世界全体で同時に起きます。その時になれば海外からの援助は期待できず、日本は日本だけで難局を切り抜けねばなりません。社会秩序を維持し、経済を回し、電気・ガス・水道のライフラインに各種物流にゴミの回収といった事業の継続、さらには自給率が40%を切っている食料をどうやって確保し、国民に届けるか、すべて事前に議論し、行動計画を策定して、訓練を行っておかなければ、社会が崩壊し、悲惨なことになるでしょう。
おしえてBP!
防災 ・災害
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