新型インフルエンザの“リアル”を語ろう

文明が強毒型ウイルスを招き寄せた

――しかし、なぜ今、この時代に、これまで自然界には存在しなかった強毒型のウイルスが出現したのでしょうか。

田代:人間が大規模な養鶏を始めたことが大きく影響しているのでしょう。自然界には同種の鳥類が何万羽も集まるところなどめったにありません。自然界では強毒型の突然変異が起きても、感染したトリがすぐに死んでしまうので、ウイルスは感染拡大を起こせず、消滅してしまうのです。

 養鶏場のような、トリが密集している場所があって初めて、強毒型のウイルスは増殖し、さらなる突然変異を起こして鳥類の間に広がることができたのです。

 その意味では、強毒型のウイルスの出現は、人が起こしたことと言えなくもありません。便利さや快適さを求める文明が強毒型ウイルスを招き寄せたのです。

 しかし、文明は同時に科学技術をも進歩させました。過去のパンデミックは常に起きてみなければ分からない、予測不可能の災厄でした。それは20世紀に起きたスペインインフルエンザでも同じでした。

 しかし今、H5N1インフルエンザウイルスは、何年も前からその脅威がはっきりと分かっています。21世紀の我々は科学技術を使い、やがてやってくるであろうパンデミックに対して事前に対策を立てることが可能なのです。

 対策を立て、パンデミックに対する準備を可能な限りしなくてはなりません。パンデミックが来てから対応策に追われるのが20世紀の防疫ならば、事前の十分な準備こそが21世紀の新しい防疫なのです。

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