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日本の情報収集活動はどこが抜けているのか(第2回)
~情報の重要性を知らない企業人が「失われた10年」を招いた~
軍事ジャーナリスト 鍛冶 俊樹 氏
鍛冶氏は、日本の国際競争力が低下した原因について、企業が情報の大切さを理解していない点にあると見ている。そのうえで、きちんとしたスパイ防止法の制定が必要と説く。
聞き手・文/二村 高史
2006年5月1日
スパイ防止法は日本の富を守るために必要
――日本では、情報活動の守りが脆弱だといわれますが、それはなぜなのでしょうか。

軍事ジャーナリスト
鍛冶俊樹氏
鍛冶:
それは、スパイ防止法がないことに尽きます。確かに、公務員は守秘義務があって、秘密を漏らせば逮捕できるのですが、問題はその先です。
誰かが公務員をそそのかして情報を取った場合、その人物をなかなか逮捕できない。せいぜい「教唆」といった軽い罪にしかなりません。さらに、その先に敵の情報機関があった場合、もうお手上げです。今の日本の法律では調査すらできないでしょう。
それができないのも、スパイ防止法がないからにほかなりません。スパイ防止法がないということは、スパイという罪状で起訴することができず、事実上、日本にスパイは存在しないということになってしまうのです。
機密保護の必要があるのは、国家公務員だけでないことは、先日、ヤマハ発動機の無人ヘリが中国に渡ってしまった事件でもお分かりになるでしょう。
あのように民間の技術情報のなかにも、国家にとって重要なものがいくらでもあります。そういう技術情報を幅広く保護しないことには、日本の国益はますます侵害されてしまうでしょう。
――ただ、スパイ防止法というと、どうしても一般の人には拒絶反応が大きいと思うのですが……。
鍛冶:
スパイ防止法の本質は、けっして一般の人を取り締まることにあるのではなく、一般の人の財産を守るものなのです。政治スパイにせよ、産業スパイにせよ、スパイが野放しになることで、どれだけ日本の富が失われてしまったかを考えなくてはいけません。
ある雑誌にも書いたのですが、1990年に日本の国際競争力は1位だったのに、今では30位前後に転落してしまいました。その最大の理由は何かというと、情報の流出なのです。
大企業の社員が、大量に外国企業に引き抜かれたり、見境なく技術移転が進められたために、外国の企業の方が優位に立ってしまったわけです。
当時の企業人が、情報流出の重大さに気づかなかったこと――それが、その後に訪れる「空白の10年」の大きな原因になったといっても過言ではないでしょう。
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