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日本の情報収集活動はどこが抜けているのか(第1回)
警察が中心となった情報機関づくりは危険
――では、日本にしっかりとした情報機関を作ろうとすると、警察が中心となるのでしょうか。
鍛冶:
確かに、警察も情報機関的な活動をしていますが、本質的には、情報機関と警察とは別個につくらないといけません。
というのも、警察というのは逮捕するのが仕事ですが、情報機関は泳がせておくことが大切だからです。この正反対の職務をもつ機関が、同じところにあるとうまくいきません。このあたりの議論が、まだまだ整理されていませんね。
しかも、警察から発達すると、国の内外を一手に抑え込む形になってしまいます。そうなると、旧ソ連のKGBのような強大な抑圧機関になる恐れがあります。これは危険です。
やはり、アメリカのCIAとFBIのように、対外情報局と国内の情報機関という二つの形が必要になってくると思います。
――アメリカやイギリスの情報機関は、もともとは軍隊から生まれているんですね。
鍛冶:
なぜかといえば、軍というのはどこでもフリーパスの権限を持っており、しかも軍隊の敷地内に警察が入れないからです。そうした治外法権を持っているために、情報機関を軍の中に作るのは好都合だったわけです。
警察の手が及ばない代わりに、軍の警察機関として憲兵隊が存在し、司法機関として軍法会議というのがあります。
――戦前の日本の憲兵というと、一般人に対しても恐ろしい存在だったという印象がありますが。
鍛冶:
いや、それは正確にいえば、「戦前」ではなくて「戦時中」ですね。
戦時中というのは、どこの国でもそうですが、軍隊が町中を絶えず動いていますから、憲兵も軍の基地の中にこもっていられないんです。外を出歩かないと、軍を取り締まれません。
また、軍と民間人がかかわる機会も多くなるので、民間人に対して抑圧的になってしまうこともあるわけです。これは戦時下の異常事態といっていいでしょう。
戦前でも、平和な時代においては憲兵が民間人を取り締まるということはありませんし、それはできないことになっています。
戦時下において起こったことですから、そのへんは割り引いて考えるべきでしょう。
軍で都合のいいのは、駐在武官として海外の大使館に行けることです。大使館内には駐在武官府という独立した部屋があり、ここには大使もなかなか口出しができません。そのため、対外活動もしやすいという利点があるのです。
ちなみに、日本でも駐在武官は出ているのですが、防衛庁から外務省に出向する形となるため、ほとんど力はありません。むしろ、大使館の下働きのようなことばかりやらされているのが現実です。
――それでは、日本の場合、自衛隊に情報機関を置くことが適切なのでしょうか。
鍛冶:
今の自衛隊自体に力がありませんから、そこに情報機関をつくっても力が伴いませんね。自衛隊が軍として活動するのは現在の法律では無理がありますから、それは現実的ではないと思います。
私は、国内の情報機関については、すでに公安調査庁が存在していますので、それをうまく適用していけばいいと考えています。対外情報機関は、やはり外務省となるでしょうか。
いずれにしても、人材の養成、法律の整備など、課題は山積しているといってよいでしょう。
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