日本の情報収集活動はどこが抜けているのか(第1回)

ガードの甘い日本の外交官
~対外情報収集どころか相手に隙を与えているだけ~

――海外での情報収集といえば、どこの国でも大使館が大きな役割を担っているようですが、日本ではどのような状況なのでしょうか。

軍事ジャーナリスト
鍛冶俊樹氏

鍛冶:
 確かに、大使館を通じた情報収集は重要です。そこで、外務省に対外情報局に相当する情報機関を設置して、大使館ルートの情報を活用するというのは一つの手です。

 ただ、これにも大きな問題があります。大使館というのは、当然外国にあるわけですから、大使館の職員が外国のスパイ機関に取り込まれるという恐れがあるからです。

 最近になって、中国・上海総領事館の電信官が、2004年に自殺したという問題が大きく取り上げられたのはご存じでしょう。女性関係をネタに中国の公安当局に情報提供を迫られたというものです。

 ご本人にはお気の毒ですが、かねてから大使館員のガードの甘さには心配をしていました。

 たとえば、日本の大使館員は、平気で中国のカラオケに行くのです。もちろん、カラオケボックスのようなところではなくて、中国の女の子がはべってくるような店です。そうして、そんな店には、決まって隠しカメラが設置されています。

 日本の大使館員の行動はしっかりと記録され、女の子と付き合えば、話した内容まで逐一報告されてしまいます。これでは、わざわざ付け入られる隙を与えているようなものではありませんか。

――外国の大使館では、そういうことはないのでしょうか。

鍛冶:
 先進諸国のなかで、こんなガードの甘い国はないでしょうね。

 アメリカの外交官から、こんな不満を聞いたことがあります。

 外交官を交えたパーティーの席でのこと。そういったパーティーは華やかなものですから、どこからともなく美しい女性も登場してきます。そんなとき、日本の外交官は何も臆することなく彼女たちを外に連れ出してしまうというのです。

 アメリカの外交官はそれはできません。なぜなら、大使館の中にはCIAの見張りがいますから、翌日になってお叱りを受けてしまいます。どこに行って、何をしたのか、何を話したのかということを厳しく追及されることでしょう。

 ですから、どんな美女を前にしても、アメリカの外交官はよだれを垂らして見ているしかない。ところが、日本の外交官は何の遠慮もないというので、アメリカの外交官は非常に憤慨しているというわけです。

 逆に言えば、アメリカのように相互監視をしないと、大使館の職員が外国のスパイに取り込まれてしまう恐れがあるのです。

 アメリカ大使館の中では、誰がCIAの職員なのかがわからないようになっています。いわば、秘密裏にスパイをもぐり込ませて、大使館員を監視しているのです。

 それに引き換え日本はといえば、外交官だけでなく国会議員もまた、接待という名のもとで、そうしたカメラの付いた店で遊んでいる。これは、ほかの国では考えられないことです。

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