“食品の裏側”を明らかにする(後編)
「食卓の乱れ」は「社会の乱れ」を招く

『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』
(東洋経済新報社)
著者 安倍 司 氏


食品添加物を扱う現場で長年働き、消費者の知らない“食品の舞台裏”を見てきた安部司氏。著書『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)には、消費者がこれまで知りようもなかった添加物の現状が書かれている。「添加物の光と陰の部分」「消費者=被害者ではない」という話から始まった、安部氏が消費者に送るメッセージはさらに続く。

聞き手・文/藤崎 典子、写真/赤坂 智洋

2006年3月31日

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加工食品も意識して買うことが大切

――『食品の裏側』は、添加物のことを書いた本でありながら、難しい話ではなく、とても分かりやすいですね。


(上)『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)
(下)著者の安部司氏

安部:
 当初、この本は主婦層に向けるつもりで書きました。添加物に投票して、支持しているのは自分たちだということを、主婦の人たちに少し考えてもらいたかったからです。

 また、恐怖心をあおるばかりの本にもしたくありませんでした。神経質になり過ぎなくてもいいし、そんなに怖がる必要もないということはきちんと言っておきたかった。添加物の危険性や毒性だけを挙げ連ね、「毒だから食べてはいけない」「買ってはいけない」と言うだけで片づく問題ではないと思うからです。消費者だって、添加物の怖さについては薄々知っているけれど、忙しくて加工食品を使う頻度は高いことは自覚しているし、だからこそ「そのことには触れないで欲しい」という気持ちもあったはずです。危険性だけを騒ぎ立ててみても、消費者がただ逃げ場をなくすだけになってしまいます。

 私も家事の手伝いをしますので、主婦の忙しさはよく分かります。だから何も「明日から全てを完璧に手作りしましょう」とは言いませんし、言えません。加工食品を使う日があってもいいと思う。だけど、その食品には添加物がたくさん含まれているということを知って買うのであれば、それはまた違ってくるでしょう。裏の表示を確かめて、少しでも添加物の少ない商品を選んだり、「昨日はたくさん添加物をとってしまったから、今日は手作りにしよう」といった風に変わっていくと思うのです。

――学校での講演も数多く行われていますね。

安部:
 中学生や高校生などに向けて話をするときは、もっと意地悪を言っています。お母さんが買ってきたものを見て、「お母さん、デヒドロ酢酸ナトリウムって何? 僕が食べてもいいもの? お母さんが知らないもの、僕に食べさせるの?」と聞いてごらん、って(笑)。子どもにそのように言われて、現状を省みない親はいないはずですよ。「そんなことをしていたら、食べるものがなくなる」という人たちは、それだけ加工食品への依存度が高いということです。

 主婦の人たちにも、私は常に「奥さん、一緒に考えようよ」という姿勢で話をしています。例えばハムについて、「これにはポリリン酸が入っていますが、安全なんですか?」と質問されたりします。私は「安全性を語るよりも、入っていないものを買えば」と答えます。「それじゃ、高くてハムが食べられなくなっちゃう」と言われますが、ハムを食べなくても別に死んだりはしません。無添加のハムが高いというのであれば、「毎週買っていたものを月に1度にして、身体によいものを食べる方がいいんじゃない?」と意見したりします。

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