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聞き手・文/林愛子、写真/渡徳博
2006年1月26日
地球温暖化物質は二酸化炭素だけじゃない
――ディーゼルエンジンなどから排出される微粒子は、人体への健康被害のほかに、どのような影響が考えられますか?
東京大学先端科学技術研究センター
近藤 豊教授
近藤:
気候への影響が心配されています。地球温暖化の原因として有名なのは二酸化炭素(CO2)ですが、オゾンも部分的に関係しています。ブラックカーボンなどの黒色の微粒子もCO2の3分の1から2分の1程度の割合で地球を暖めていることが分かっています。一方、硫酸などの白色の粒子は太陽光を散乱させて地表へ到達するのを防ぐため、地球を冷やす効果があります。
また、雨の降り方が変わる可能性もあります。空気が上昇して冷やされると、水蒸気が飽和して大気中の微粒子(エアロゾル)の周りに凝結し、雲が出来ます。雨が降るには、雲がある程度の大きさになる必要がありますが、微粒子が大気中に増えると、一つひとつの雲粒(うんりゅう/雲をつくる非常に小さい水滴、または氷の粒のことを雲粒という)が小さくなることが分かっています。
さらに、ブラックカーボンは太陽光を吸収して大気を暖めますが、その下は冷やされる。上が熱くて下が冷たいと、大気が安定化して対流が起こりにくくなり、雲自体が出来にくくなります。
――大気汚染が原因で世界の気候が変わる可能性があるということですか。
近藤:
そこまでいかなくても、空の状態を変えることはありえます。普段の空はなんとなく霞んでいるのに、雨の後は遠くの山まできれいに見えますよね。これは大気中の微粒子が雨で流されるからであり、もし大気汚染が進んで微粒子が増えれば、もっとどんよりとした世界が当たり前になる可能性があります。微粒子が地球温暖化を防いでいるという見方もできますが、一生灰色の世界というのを想像してもらいたいと思います。
東大先端研(駒場)の建物屋上から南側を見た写真
(資料提供:近藤研究室)
北京は東京よりも遥かにひどい状態で、どんなに晴天でも青空がきれいに見えません。中央政府はオキシダントと微粒子を中心に、環境対策に乗り出しています。私たちは以前から北京大学と共同研究を進めており、昨年11月からは北京大学構内で炭素を含むエアロゾルの観測を始めました。結果は平均して東京の5倍の濃度で、予想されたこととはいえ、あまりにも多い結果でした。
しかも、ほぼ週単位で濃度は変化しており、東京の10倍という日もありました。変化の理由は、気象学的要因だろうと考えています。北京の北西は山岳自体で、万里の長城の先には大きな汚染源がないので、シベリア高気圧の影響で風が吹くと大気がきれいになり、淀むと汚染物質が増えるのではないでしょうか。
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