中国の大気汚染が日本を襲う?!(前編)

上空に流れたオゾンが地球温暖化を加速!?

――今後、日本ではどんな影響が想定されますか。

近藤:
 環境省では今後、大陸から流れてくるオゾンによって、日本海側の高山の森林が枯れていく可能性があると指摘しています。オゾンは高い高度で移送されやすく、栃木や奥日光といったエリアでは、すでに東京から運ばれた大気汚染物質による森林に影響が出ていることが分かっています。しかし、こうしたことは複合汚染なので1つの原因だけによるものだと特定することはできせん。森林が枯れるのは、大気汚染から派生した酸性雨が土壌に沈着するからだ、という説もあります。最近ではオゾンによる影響の説の方が有力ですが、オゾン以外の影響も無視できません。

 また、中国国内の植生に影響があると、米や大豆、野菜が不作になって、食糧事情に変化が出るかもしれません。この問題への対策は2つあり、一つは大気汚染物質の低減、もうひとつはオゾンに強い品種の開発で、現時点でもさまざまな研究が進められています。

 さらにオゾンは対流活動によって上空に行くと温室効果気体として働きます。地球温暖化にもっとも影響を与えるのはCO2ですが、オゾンも部分的に地球を暖めています。ただし、これは地表付近にあるオゾンのことで、成層圏のオゾン層とは別物です。成層圏オゾンは空気中の酸素が太陽の紫外線によって分解されて生成されますが、地表付近のオゾンはいわゆる光化学スモッグと呼ばれる大気汚染物質の化学反応によって生成されるという点で、生成のプロセスがまったく異なるといえます。

 また、成層圏オゾンは生物に有害な紫外線を吸収するために必要不可欠なものですが、地表付近のオゾンによる紫外線の吸収効果は量的に小さく、植生や人体への悪影響の方が問題です。将来的には中国や東南アジア、インドなど、今後経済活動が盛んになるエリアで、増加したオゾンによる影響が大きいのではと心配されています。

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