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日本版SOX法がもたらす「内部統制」のIT化
新法施行で、会社の「透明性の確保」は実現するのか
SFJソリューションズ 常務取締役 情報システム部門コンサルタント 川上 暁生 氏
日本版SOX法の対応には、「ITが必要」だという見解は以前からあったが、11月10日に開催された第12回内部統制部会で、ITは「(企業の)内部統制の目的を達成するために不可欠な要素」であり「内部統制の有効性に係る判断基準」として明確に位置付けられた。
これにより、企業はITを中心としたSOX法対策が必須課題になったといえる。対象となるのは2007年4月からの企業活動である。残された準備期間はわずか1年程度と、差し迫った状況だ。今回は、ITコンサルティングやセキュリティ・コンサルティング、内部監査コンサルティング業務などを手がけるSFJソリューションズの常務取締役であり、情報システムコンサルタントの川上暁生氏に、日本版SOX法への対応策について話を聞いた。
聞き手・文/林愛子、写真/渡徳博
2005年11月30日
SOX法のキーワードは「内部統制」
――そもそもSOX法とは何ですか?

SFJソリューションズ 常務取締役
情報システム部門コンサルタント
川上 暁生氏
川上:
米国のエンロン社やワールドコム社といった企業が、不正会計処理で破綻したことを受けて、2002年7月に米国で施行された企業改革法(サーベンス・オクスリー法:Sarbanes-Oxley)の略称が「SOX法」です。米国に本社のある企業だけでなく、米国で上場している企業も対象です。
2006年には、日本でも『財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準』、いわゆる「日本版SOX法」が制定される見通しです。SOX法の認知度は徐々に高まっているといえるでしょう。
米国のSOX法の特徴は、「経営者による企業の年次報告書の開示が適切であることの宣誓」と「内部統制報告書の作成が義務付け」です。日本版はこれをベースに、金融庁が中心となって、現在、協議を続けています。日本版の詳細な内容はまだ決まっていませんが、キーワードが「内部統制」であることは間違いないでしょう。
内部統制とは、端的に言えば「標準化」や「手順化」であり、「透明性の確保」です。これまでベテランの担当者が、長年の経験や勘でこなしていた経理や財務の処理を誰でもできるように標準化し、経営陣がそれをいつでも自由に閲覧できるようにして、迅速かつスムーズな経営判断を行えるようにしなくてはいけません。また、監査など第三者の求めに応じて情報開示できる体制を整える必要もあります。
金融庁の企業会計審議会が、ITを「内部統制の目的を達成するために不可欠な要素として、内部統制の有効性に係る判断基準」と位置付けているほどですから、日本版SOX法はIT抜きには語れないでしょう。
具体的には、これまで人間の勘やノウハウに頼っていた部分を文書などによって“視覚化”し、共有するために ITが活用されるようになります。これによって、経営者は会計が正しくなされているのか判断できるようになりますが、正確な財務諸表作成のためには販売管理等の各部門から正しいデータが集まらなければなりません。
また、規制やチェックが複数入るので、単純に会計ソフトを入れれば済むというようなものでもありません。コンテンツ管理やナレッジ管理、セキュリティ対策など、社内の情報システム全般を見直す必要が出てくるのです。
「業務全般を洗い出し、情報の流れを把握する」という意味では、ISMS(情報セキュリティ・マネジメント・システム)や個人情報保護法、プライバシーマークなどとも関連性が高いでしょう。
日本は「ノウハウ」という名の下に、経理や財務が“ブラックボックス化”されていた側面があったせいか、「誰でもできる、外部のチェックを受ける」という文化が育たなかったといえます。しかし日本版SOX法の導入・施行によって、その文化は受け入れざるを得なくなります。
2008年3月決算期から施行の見通しとなると、2007年4月以降の企業活動から該当します。つまり、準備期間は1年ほどしか残されていません。「透明性の確保」という文化が根付くのはまだ先の話であるにしても、日本版SOX法の対象となる国内上場企業は、早々に対応策を練る必要があります。
しかし、米国SOX法の対象となっている企業以外で対応を進めている企業は皆無に等しいのが現状です。SOX 法について全く知らないという経営者も多い。また、利益を生まないのに、多大な資金と労力を必要とするという点も、対応が遅れている理由の一つでしょう。長期的に見れば、社内の業務改善を行うことで得られるメリットも数多くあるはずなので、先行投資と割り切って取り組むべき課題だと思います。
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